【英論抄読】通常歩行とゆっくり歩行時の膝の運動学的な変化
📖 文献情報 と 抄録和訳
トレッドミル歩行時の膝の3次元運動解析ー低速度指令と通常指令の比較
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DOI, PubMed(PMC), Google Scholar
💡 ポイント
📚 概要
[目的]
歩行速度は健常者と傷病者の間で変化するが、速度のみが生体内の3次元膝関節運動をどの程度変化させるかについては十分に説明されていない。本研究では、健康な若年成人の歩行速度が正常歩行と比較して遅い場合に生じる時空間的および3次元的な膝関節運動学的変化をより良く理解することを目的とした。
[方法]
男性26名、女性25名(18歳~35歳)が本研究に参加した。参加者は、KneeKGシステムを装着したトレッドミルで、低速(時速2km)で3回、その後、自分で選択した快適な歩行速度で3回試行した。Stata/IC 14を用い、ペアt検定、Wilcoxon符号順位検定、Mann-Whitney U検定、Spearman順位相関係数を実施し、低速歩行と自己選択速度の運動特性を比較検討した。
[結果]
通常歩行に比べ、ゆっくり歩行ではケイデンスと歩幅の両方が減少した。また,立位での屈曲角度は10.6°,13.7°,p<0.0001となり,屈曲可動域も53.1°,57.3°,p<0.0001と低下した.また、ゆっくり歩くと内転ROM(10.0°に比べて8.3°、p<0.0001)、回旋ROM(13.6°に比べて11.4°、p<0.0001)、前後転ROM(10.1mmに比べて8.5mm、p<0.0001)が小さくなることが示された。
[結論]
徐歩による時空間測定の低下、立脚時の屈曲の低下、全平面での膝関節ROMの低下は、変形性膝関節症でこれまで証明されているのと同様に、膝が硬い歩行であることを示している。健常膝に誘発されたこれらの特徴が、変形性膝関節症の有効な歩行モデルとなるかどうか、さらなる研究が必要である。
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私の最近の関心事は、一般的な介入を行う中でいかに「質」を高めていけるかどうかである。
以下の論文を読んで、特にそう感じるようになった。
膝のROMを改善させたい場合、短縮・拘縮している筋・組織を評価して、特異的に介入することは大切だ。しかし、特に屈曲可動域が制限されている場合、歩行時に膝屈曲を出現させやすい「歩き方」があれば、それは「量」だけでなく、ある程度の「質」も担保できるかもしれない。
本論文の結果はあくまで健常成人であり、膝屈曲制限患者への一般化可能性はまだ低い。しかし、正常なバイオメカニクスとして歩行速度と膝屈曲の関係性は理解しておく必要があるだろう。
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医療従事者における道徳感についても記事にしていますので良かったら読んで頂けると嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。
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