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「結婚式はしたくない」という夫と結婚式をした

付き合って半年くらいの頃に、将来の話をしている流れで、彼は「結婚式はしたくない」と言っていた。理由は「500万円くらい掛かるんだよ?」とのこと。「使いどころを見極めて豪華にしなければそんなに掛からないし、私が払うから大丈夫だよ」というようなことを返したと思う。

それから約1年半が経ち、私たちは結婚に向けて動き出した。
選んだハーフエタニティの婚約指輪を頂き、お返しには定番のスーツも時計もいらないと言われたので、真に欲しいという最新のスマホ代を渡した。両家の顔合わせ食事会を設定した。結婚指輪は思い出が残せるように、手作り工房に行って作成した。(お互いにこだわりが強くて素材もデザインもそれぞれに違う。)

そして、また結婚式の話をした。
そうしたら「いったん無しで」と返ってきた。「…いったん?」と聞いたら、「無しで」になった。

お金が…との事だったので、「私が全部出す」
時間が…面倒が…という事だったので、「準備は私がやる」
恥ずかしいから…という事なので、「身内だけにしよう」
やる意味が分からない…と言っていたので、「けじめと区切りと、育ててくれた家族の為にやりたい」「一度に挨拶できないと親戚回りしないといけないよ」
と話した。

本当は一緒にやりたいって言ってほしかったけれど、友達も呼びたかったけど、仕方ない。
私は妥協したつもりだった。かなり歩み寄ったつもりだった。
でも、上記の話し合いという名の説得では彼の理解は得られなかった。

なんで私はこんなに結婚式を行う事にこだわっているんだろう?
役所に婚姻届を提出したら結婚できる。式を挙げないで、フォトウェディングの形式を取る人もいる。
…でも私は、結婚式を挙げたかった。式をすることがライフイベントとしての節目に大切だと考えていたから。形式的なもので自分の気持ちを整理できる気がしたから。

まさか結婚式を挙げたいから結婚するわけじゃない。この人と一緒に家族として今後の人生を歩んでいきたいから結婚するのであって、結婚式をしたい相手は彼なのだ。でも、一生に一度のイベントを「無しで」で諦めることができなかった。正直に言うとドレスへの憧れもあった。完全にこちらのわがままだ。分かっている。

話し合いの結果、「誰も呼ばずに二人だけで挙式をするならやってもいい」と言ってくれた。
一般的にイメージする結婚式=みんなに囲まれて執り行われる挙式+披露宴ではないけど、これならやってもいいって言ってくれた。なるほど、それならそれで妥協案として進めるしかない。せめて両親は、とは思ったけど彼にも事情があるし。やりたくない人からすれば、これが寄ってきてくれた形なんだと思った。

同じくらいの時期に、新婚旅行は沖縄がいいという話になった。
ならば、沖縄で挙式もすればよいのでは?という気持ちになった。…まあ、周りに「何で2人式なの?」と言われた時に説明しやすいという思いもあったのは確かだ。

式場をネットで調べて、沖縄の海が見えて少人数に特化したところを選んで写真を見てもらった。彼は水色が好きだから、白と水色で統一された式場に「水色いいね」と言ってくれた。

そこから、式場への初回相談と仮契約を私が行い、家に帰ってもう一度相談。見積もりを見てもらったけど、結局私が出すからか、サラッと目を通して「いいんじゃない?」だったので本申し込みをした。

私の両親に沖縄でふたりでの式を挙げることを報告した。
もともと彼が結婚式に対して難色を示していたことを相談していたから、式自体をできることは良かったね、と言ってくれたけど、やっぱり寂しそうだった。ごめんね。記録映像は入れることと、これから一緒に生きていく彼の気持ちを大事にした結果と伝えて納得してもらった。

宣言通り、プランナーさんとの打合せは私が行った。都度こうするということは彼に報告していたけど、興味はなさそうだった。
それは仕方ない。私が私のやりたいようにやれる!とポジティブに考えてどんどん打合せを進めた。…とは言っても、人を呼ばないので決めることなんてあまりないのだけども。
彼には、一日休みをとってもらってその日に打合せ&衣装合わせを一度に行い、決めた流れとプランの確認、衣装決めを行った。
私の両親は試着の日に来てもらい、一応ドレス姿は直接見てもらった。

その後もプランの微修正をして、衣装や演出も決めて、最終見積もりと請求書を作ってもらった。いらないところを削ったのと、気に入ったアクセサリーやブーケは通販で買って持ち込みすることにしたので、最終見積もりも最初の見積もりとあまり変わらなかった。
これも一応彼に金額は伝えたけど反応薄。私が自分の貯金から支払ったので正直ふーんで終わったのだと思う。

私はせっかくやるなら!と張り切って、どんなポーズで写真を撮るかやどんなヘアメイクにするかを資料にまとめたり、初めてのまつパやらエステやらジェルネイルやらに舞い上がってみたり、毎日トマトジュースを飲んだり野菜多めの食生活にしてみたり、チョコザップでたまに運動したりなどと悪あがき程度に付け焼刃の美を求めたりしていた。

並行して、新婚旅行の沖縄での過ごし方を考えたり、航空券&ホテルの手配と支払いも私が行った。やりたいことの希望を聞いたけど、特にこれっていうのは無いらしい。なら、旅行の計画立てるのが楽しい!と思える方がやるのがいい。私は一人旅は計画を立てずにその時の気分で回るのが好きだけど、人との時は色々計画を立てておきたい人。
彼に食べたい沖縄そばのお店を考えておいて、とお願いしたら選んでくれたけど、定休日で残念だった。

結婚式前日に沖縄入り。
当日は雨のち曇り予報。実際スコールがあった。
ファーストミート。夫はタキシードに身を包んで微笑んでくれた。ドレス姿の私は泣いた。この日が来たんだ。
写真撮影をし、リハーサルをし、息をつく間もなく本番ですと言われ、結婚式は流れに沿って進行していく。
人前式なので「誓いの詞」を読んで、ああ、この契りが私のけじめなんだなと思った。あっという間に終わった。
こないだ届いた記録映像を見たらふたりとも緊張からかガッチガチな動きだった(笑)それもいい思い出。
ビーチでの写真撮影もした。とても晴れていて青い海、青い空、白い雲…そして白い私たち二人。一生の思い出になった。忘れない。

当日、夫は笑顔で過ごしてくれた。
後から、私の為に頑張ってくれてありがとう、無理させてごめんねと言ったら、そんなことないと言っていたけど、ほんとはどうだろう。

結婚式がゴールじゃないけれど、人生の中で、私にとっては結婚式は大切なものだった。これでまた次に進める気がする。
人の価値観はそれぞれ。興味がないことに付き合ってくれてありがとう。

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