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#143 イライラすることは何?

小学校の4月。定番の時間がおとずれる。自分の夢や性格などを一枚の紙にまとめる時間だ。そこに1学期の目標なども合わせて書き、教室の後ろに掲示する。最近ではキャリアノートに書かせることもある。(ある中学校の教室で見つけた「私のトリセツ」はよくできていた。)

「僕はこんな特技があって、こんな性格です。1学期は○○をがんばりたいな。」すらすらと自分のことを書く子がいる一方で、全く鉛筆が動かない子もいる。

「どうしたの?」「得意なことありません。」

さて、どうしたものか。教師が「A君は○○が得意じゃない。体育で跳び箱5段も跳んで、先生すごいと思ったんだから。」と直接、伝える。「ねえ、みんな、A君の得意なところ教えてくれる。」「A君は字がきれいだよ。後ろの習字見てよ。」と学級のみんなから伝えてもらう方法もある。どちらも、具体的な根拠を合わせることが大事だ。

さて、次はなかなか難易度が上がる。

「どうしたの?」「性格がわかりません。」

自分の性格を説明できない子は多い。つまり、自分がどんな人間なのかを紹介することが難しいのだ。(大人だって難しい問いだが、自分を見つめ、自分の変容を把握するための取組なので、こういう活動は繰り返していくことが大事だ。)

さて、この子は何で困っているのだろうか。2つ考えられる。

①自分を表す言葉をもっていない。

友達に「やさしいよ」と言われても、自分のもつ「やさしい」のイメージと合わなければ納得できないだろう。といって、自分の性格をぴったり表す言葉なんてものは存在しない。人は状況や場によって行動が変わることが多いからだ。こんな時は、「やさしい一面もある」ことを伝える。つまり、性格は一つにまとめるものではなく、複合的なものでいいんだと伝える。

②自分の性格が分からない。

今まで考えたことがなかった子は、本当に分からないだろう。そこで、自分の性格の見つけ方を教える。僕がよく使うのが、

「イライラすることって何かない?」だ。

イライラすること、そこには、自分が許せない相手の行動などが表れる。それは、自分の価値観だ。また、自分が簡単にできることを、人がうまくできないでいる様子を見るとイライラする。つまり、自分の得意なことが表れる。
「男子がちゃんと掃除しない時にイライラします。」
「なんでイライラするのかな」
「みんなちゃんとやっているのに、遊んでいるのが許せません。」
→真面目、責任感がある、きまりはちゃんと守る、などが表れている。
「教室をきれいにしたいのに、協力してくれないから、いつもゴミが残るんです。」
→きれい好き、整理整頓が得意、協力的、などが表れる。

子ども一人ではできない場合が多いだろう。教師との対話によって、自分自身を知る経験を積ませてあげたい。そして、自分の理解者に、自分自身が加われるようにしてあげたい。


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