#295 あなたの言葉はどこから出ている?
学びの秋ということで、いくつか研究授業を観る機会がありました。自分も何度か経験がありますから、授業者の先生のこれまでの苦労や努力、緊張感は理解できます。多くの先生方の学びの場を提供してくださる先生方には感謝、感謝です。
なぜ子どもが離れていくのか
さて、授業を参観していて、ふと思うことがありました。これは、僕が観た授業がそうだったというわけではありません。
参観している時に、
「そういえば、先生が熱くなって語るけど、子どもはどんどん離れていく場面ってあるよなあ。」
と思ったんです。
どうですか?皆さんも、そんな場面を目にしたことありませんか。
僕なんか、自分がそんな状況に陥った経験が何度もあります。本当に、何度も、何度も。子どもが離れていっている自覚があるものですから、どうにかしようと、どんどんドツボにはまってしまっていました。
3つの言葉
劇団四季出身の講演家の佐藤政樹さんの書籍に次のような言葉があります。
「頭の言葉」「胸の言葉」「腹の言葉」
この言葉との出合いのおかげで、自分の授業や短学活での話での事故が減りました。
頭の言葉(劇団四季では「唱えている言葉」)
頭で分かったつもりになって話している言葉です。暗記したことを思い出しながら話したり、メモを読んでいるだけの言葉ですね。
胸の言葉(劇団四季では「うわべ言葉」もしくは「説明的言葉」)
胸ですから感情やテンションを使った言葉となります。一見、よさそうなのですが、落とし穴があります。自分だけが「しっかり伝えた。」「よし、伝わった。」という勘違いが生まれるのです。自己満足な表現ってことですね。
腹の言葉
腹に関する様々な慣用句が表すように覚悟が決まった(腹を決める)、納得した(腹落ち)状態で話す言葉です。
授業での3つの言葉
「頭の言葉」での授業はどうなるでしょう。
どこかで仕入れた知識をそのまま試しているような、表面的な言葉による授業です。子どもたちは、何も感じることがなく、考えるのにも、行動するのにもやる気が起きにくいでしょう。
続いて、「胸の言葉」ではどうなるのでしょう。
先生ばかりが熱量が高く、子どもたちはおきざりになるでしょう。子どものリアクションが自分の熱量に比例しないため、ますます説明が増えます。そして、さらに子どもが離れていきます。
「みんな、どうしたの?緊張しているの?」
聞いたことありませんか?こんな時、大抵、問題は教師の方にありますよね。
最後に、「腹の言葉」です。
授業が自分のものになっているので、何が起きても動じません。子どもたちの向かう方向に伴走可能です。そもそも、そうなることも覚悟している状態です。子どもが困ったら、一緒に立ち止まれる、子どもが動きたければ、自由に動かせる。そんな状況を受け入れる覚悟がある先生の言葉は心地よく、安心感があります。
一見、がちゃがちゃしているような授業なのに、成立している。最後には、いつの間にかクラスみんなで目的地に到達しているような授業は、腹の言葉で成されているように感じます。
どうでしょう?皆さんは、普段、どんな言葉を使っていますか?
さて、明日の僕の言葉、どれくらい子どもに届くかなあ。