【先生が笑顔でいる効果】
このお正月に本を読んで、「笑顔は無言の承認」になるという川上康則先生のお話が、より「なるほどな〜」と自分の中で腹落ちしたことがあります。
それは、「笑顔がもたらす効果」です。
人間の脳の仕組みやら歴史やらで長くなりますがお付き合いを…。
まず、私たちには痛みや温度、肌を押されても反応はせず、秒速2・5センチの速さで触られた時に最も反応する受容体があります。この速さは、優しくなでられる時の速さだそうです。
肌を優しくなでられると「脳下垂体」という脳の下部分にあたる内分泌腺で「エンドルフィン」が放出されます。エンドルフィンというのは、痛みを和らげたり、幸福感という強い感情をつくったりする物質です。
この受容体は、人間に近い親戚のゴリラやチンパンジーにもあるようです。彼らは、起きている20%近くお互いを毛づくろいしており、毛づくろいする方もされる方もエンドルフィンが放出されることから、親密な感情が生まれ、1つのグループとしてまとまっています。
通常ゴリラやチンバンジーの群れというのは、20〜30頭の群れで暮らし、お互いの毛づくろいをしながら絆を深めます。人間の祖先はそれよりも大きく、だいたい150人くらいが人間にとってちょうどいい群れだったようです。これは人類学者ロビン・ダンバーの研究から算出されたので、ダンバー数と呼ばれています。
しかし、ゴリラのように毎日グループ全員をなでていては、食べ物を集めたりする時間がなくなってしまうので、人間には2人を超える人数でエンドルフィンが放出されるような「集団の毛づくろい」が必要でした。ダンバーはこの点にも注目し、人間にとっての毛づくろいは「笑うこと」ではないかと考え、実験を行った結果、グループ内で笑うことでエンドルフィンが放出されることを証明しました。
このことから人間にとって「笑う」ということは、「同じグループの一員として認められている」という安心感をもたらす効果があり、絆を深める行動の1つだということが言えるでしょう。
だから、教室で「先生が笑顔でいる」ということは、子どもたちにとって、「ここにいていいんだ」「自分という存在が認められているんだ」という安心感に繋がっていくため、「無言の承認」になるのだなと腹落ちしました。
笑うこと以外にも、悲しい映画を見たり、グループで踊ったり歌ったり、一緒にトレーニングをしたりすることでもエンドルフィンがでることが判明しています。
学校でたくさんそのような機会を作れそうだなと感じた次第です♪その機会をつくる視点にUDやUDLなどは参考になると思いました。