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近鉄・東武のサービス改定について
営業距離で国内1位と2位の近畿日本鉄道と東武鉄道について、先日以下の記事が掲載されていました。
元ポッポ屋の私としては非常に興味のある記事であり、簡単にまとめてみました。
①近鉄
大幅値上げへ「大阪ー名古屋」は新幹線より高いと話題に
②東武
東武アーバンパークラインが6両から5両へ
詳細は各記事に記載があるのでここでは割愛しますが、どちらも「コロナ禍による運輸採算の悪化」への対応のようです。
事業採算性の向上のため、近鉄は特急料金等の値上げによる増収を図り、東武は車両数を減らすことによるランニングコスト減を図るという主旨の改訂となります。
概略は以下のとおり。
近鉄の改訂は分かりやすい。
ダイレクトにユーザーのコスト負担増。
(最大20%の増額で大阪ー名古屋間は「こだま」より高い涙)
東武の改訂は、埼玉〜千葉の間を走る路線(東武アーバンパークライン)で、1編成あたりの車両数を1両減らすというものです。
特に朝のラッシュ時は、1両減らした分、他の車両への影響が大きくなりそうです。
車種にもよりますが、ざっくり1両で120名ほど乗れるので、1両あたり24名程度、乗客が増える計算になります。
女性専用車両は残すようなので、他4両の負担はもう少し多くなりそうですね。
いずれにもユーザーにとっては痛い改訂..。
ただ実は、旅客輸送の仕組みについてアップデートが必要という話は、業界では10年ほど前から言われていました。
当時から、『少子高齢化や都市部への一極集中、デジタル技術の進化により、「毎日が満員御礼の旅客輸送」はいつか破綻をきたす。それは2030年〜2040年頃には問題が顕在化する』と言われてきました。
それがコロナ禍により5年前倒しされ、今回のような改悪を余儀なくされたというところでしょうか。
もちろんその間、各鉄道会社さんも指をこまねいていたわけではありません。
沿線開発や通勤時の座席指定列車の運行、ホームドア設置(これは行政主導ですが)など、沿線住民を1人でも増やし、快適に暮らしてもらうためのサービス提供を進めてきました。
しかしながら、基本的には総人口は減る方向なので、どうしてもゼロサムゲームになってしまいます。
ゼロサム化すると、どうしても営業距離が長く、郊外〜大都市の路線を抱えている会社は不利になります。
事業の公共性を鑑みると、採算性が悪いという理由で廃線にすることもできないため、稼げる路線や他事業で相補していくことが必要になります。
旅客輸送事業は、1886年に生まれた『定期券収入』というドル箱の仕組みにより、これまで鉄道会社の屋台骨を支えてきましたが、誕生から100年以上経ったこのシステムも、そろそろアップデートが必要になってきています。
誰がいち早くアップデートするか、どのような仕組みを作るのか、息を長くして見守っていきたいと思います。