映画「ライフ・イズ・ビューティフル」~あなたが輝くための秘密がある~
悲惨な題材(ホロコースト)を扱いながら、なぜ、ロベルト・ベニーニ監督は「ライフ・イズ・ビューティフル」を「喜劇」として描いたのだろうか?
一つは、観客に悲劇的な状況を直視させないためもあるでしょう。もう一つは、喜劇として描くことによって悲劇をより際立たせる効果を狙ったのかもしれません。更に私は監督の別の意図を考えてみました。
喜劇俳優のチャールズ・チャップリンは「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」という名言を残しています。
この言葉の解釈の一つに、物事の近視眼的な捉え方は状況判断を誤る可能性が高く、視野を広くして客観的に眺めれば、より良い判断が出来るという考えがあります。視点を変えれば、物事の捉え方が変わるのです。
変わらぬ状況の中で、見方を変えることによって、物事の捉え方がいかに変化するか。この映画は、それを喜劇という形で鮮やかに描き出したのです。「視点を変える」ことによって、絶望の中でも「ライフ・イズ・ビューティフル」と肯定する知恵が生まれるのです。
例えば、強制収容所に移送された映画の主人公・グイドは、息子のジョズエに「これはゲームなんだ」と嘘を言います。悲惨な現実を息子に気づかれないようにするためでした。その言葉によって、ジョズエの視点から捉えられた強制収容所は「冒険と楽しみの場」に変化するのです。
ゲームに勝てば「本物の戦車に乗っておうちに帰れるんだ」と鼓舞し、息子をこの辛い現実から解放させるための努力を続けます。周りの援助とジョズエ自身の幸運もあって、彼は生き延びていくのです。
私達も人生をゲームとして捉えることがあります。「人生ゲーム」という
ボードゲームも発売されています。そのシュミレーション・ゲームを通して「視点を転換する」メリットを疑似体験するはずです。
最後に、タイトルのエピソードについてお伝えします。監督のロベルト・ベニーニは「ライフ・イズ・ビューティフル」を制作したのは、ロシアの革命家・レフ・トロッキーの言葉に触発されたからだと述べています
悲劇的な内容を描きながら「ライフ・イズ・ビューティフル」というタイトルにしたのは、どんな状況下でも視点を変えれば「人生は美しい」と捉えられるという、監督のメッセージだと思うのです。今、あなたにとって「人生は美しい」ですか?
〔以下、映画関連の情報です〕
〔視点を変えるための参考書籍〕