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【甘いもの好きの救世主?】肥満抑制に貢献する腸内細菌を見つけたぞ

腸内細菌が糖分をガード!?砂糖と戦う微生物の秘密

「砂糖の摂りすぎは体に悪い」とよく言われるけれど、それを何とかしてくれる味方が腸内にいるかもしれない。京都大学の研究によると、Streptococcus salivarius(S. salivarius)という腸内細菌が、砂糖による肥満を防ぐ可能性があるらしい。この細菌は、摂取した砂糖を特殊な多糖類(EPS)に変えて、腸内環境を改善しつつ肥満の進行を抑えてくれるそうだ。

でも「腸内細菌が肥満を防ぐ」ってどういうこと?今回は、その仕組みや今後の可能性について、わかりやすく紹介しよう。

そもそも砂糖はなぜ肥満の原因になる?

砂糖(スクロース)は、グルコースとフルクトースがくっついた二糖類で、甘いお菓子やジュースにたっぷり含まれている。糖分はエネルギー源になるけれど、摂りすぎると脂肪として蓄えられてしまい、肥満につながる。特に欧米ではスクロースの摂取量が多く、肥満や糖尿病が深刻な問題になっているんだ。

一方で、腸内細菌も糖をエネルギーとして利用する。ただし、人間の消化酵素では分解できないものを処理して、腸内環境を整える短鎖脂肪酸(酢酸や酪酸など)を作り出す役割も持っている。この短鎖脂肪酸は腸の健康維持だけでなく、エネルギー代謝にも関わっているんだよ。

S. salivariusのスゴい働き

研究チームは500人以上の便を調べた結果、S. salivariusがスクロースによる肥満を抑えるかもしれないと突き止めた。特に注目すべきなのは、この細菌がスクロースを特殊な多糖類(EPS)に変えること。

このEPSには、

  • 糖の吸収を抑える(消化酵素では分解できないため、血糖値の急上昇を防ぐ)

  • 腸内環境を整える(腸に良い細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸を増やす) といった効果がある。

特に、EPSをエサにできる腸内細菌(Bacteroides ovatusやB. thetaiotaomicron)が増えると、腸内の短鎖脂肪酸の量が増え、エネルギー代謝や糖代謝が改善されることが確認されたんだ。

実験でわかった驚きの結果

マウス実験では、S. salivariusが産生するEPSを摂取したグループで、

  • 体重増加の抑制

  • 腸内の短鎖脂肪酸の増加

  • 血糖値の改善 が見られた。

さらに、スクロースをたくさん摂取したマウスにS. salivariusを与えると、腸内環境が変化し、肥満や代謝異常が抑えられた。そして、この細菌を摂取したマウスでは、食欲をコントロールする腸内ホルモンGLP-1が増え、血糖値の安定にも関係している可能性が示されたよ。

未来に期待できること

今回の研究は、「腸内細菌の糖代謝が、宿主(つまり私たち)の代謝に影響を与える」ことを示した点でとても興味深い。これを応用すれば、

  • 肥満や糖尿病の新しい予防・治療法

  • プロバイオティクス(腸に良い菌)やプレバイオティクス(腸内細菌のエサになる食品成分)の活用

  • EPSを活用した機能性食品の開発

といったことが期待できる。

例えば、「糖の吸収を抑えるヨーグルト」や「スクロースを分解せず腸内細菌のエサにするサプリメント」が開発されれば、食生活を変えずに健康をサポートできるかもしれない。

砂糖が怖くなくなる未来は来る?

もしS. salivariusを活用した食品が実用化されれば、「甘いものを食べ放題でも太らない!」なんて未来が来るかも。でも、すべての糖をEPSに変えられるわけじゃないし、腸内環境は人によって違う。結局、バランスの良い食事と適度な運動が大事なのは変わらない。

とはいえ、腸内細菌の力を借りれば、砂糖の影響をやわらげることはできるかもしれない。将来的には「腸内細菌のカスタマイズ」なんてことも可能になるかも?

科学の進歩で「食べた糖をすべてEPSに変換する腸内細菌」が開発されたらどうなるだろう。どんなに甘いものを食べても太らない!…と思いきや、糖を全く分解できない体になってしまい、エネルギー不足でヘロヘロに。しかたなく「EPSドリンク」を飲んで栄養補給…って、それ、もう糖分摂取と変わらないのでは?


スイーツが好きな微生物

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