【土星衛星に生命の必須要素を発見】エンセラダスにリンが高濃度で存在していたぞ

エンセラダスは、土星の氷衛星の一つで、直径約500キロメートルの小さな天体です。しかし、この天体には、液体の水、有機物、エネルギーという生命生存の必要条件が揃っています。特に、2015年には、東京工業大学 国際先駆研究機構 地球生命研究所の関根康人所長/教授らが中心となり、エンセラダスの地下海に海底熱水噴出孔が存在することを発見しました。この熱水噴出孔は、地球生命誕生の場の有力候補であり、現在も原始的な微生物が生息している場所です。この発見は、太陽系内に地球外生命を育む可能性のある環境が存在することを初めて実証したものであり、世界的な注目を集めました。

しかし、エンセラダスに関する知見が得られるたびに、生命存在の期待も高まっていた一方で、解決されていない重要な問題も残されていました。それは、地下海にどういった種類の元素が含まれているのか、どのくらいの量が存在するのかが分かっていない点です。海水に含まれる元素の種類や量によって、そこで育まれる生命を作る構成分子が規定されます。そのため、具体的な生命の構成分子が予想できなければ、次なる探査でどのような生命を想定したらよいか、どのような物質を生命発見の指標としてよいか不明のままでした。

そこで、関根所長らは、日欧米による探査と実験の綿密な連携によって、エンセラダスの海に地球生命の必須元素であるリンが高濃度で存在することを明らかにしました。リンはDNAや細胞膜などの材料となる地球生命にとって最重要元素ですが、天然での存在量は極めて低く、リンが濃集した水環境を地球外で発見した例はこれまでありませんでした。本研究では、欧米チームがカッシーニ探査機のデータから、エンセラダスから噴出するプルーム微粒子にリン酸を含む粒子が含まれることを突き止めました。日本チームはエンセラダス内部を再現する実験を行い、リン濃集要因がアルカリ性かつ高炭酸濃度の海水と岩石との反応にあることを明らかにしました。その結果、エンセラダスの海には、地球海水の数千から数万倍という高濃度のリンが存在することが判明しました。

本研究は、地球外の水環境にリンが高濃度で存在することを初めて示したものであり、エンセラダスでも地球と似た構成分子を持つ生命が期待されると同時に、原始地球での生命誕生の場の特定にもつながる極めて大きな発見です。本研究成果は、6月15日付の「Nature」に掲載されました。

エンセラダス:土星の氷衛星の一つで、直径約500キロメートルの小さな天体。内部に液体の地下海を持ち、生命を育む熱水噴出孔や複雑な有機物も存在する。
 カッシーニ探査機:NASAが1997年に打ち上げた土星探査機。2004年から2017年まで土星周辺で観測を行い、土星やその衛星の多くの秘密を解き明かした。
 リン酸:リンと酸素からなる化合物で、リン酸塩として多くの生体分子に含まれる。
 DNA:デオキシリボ核酸の略称で、遺伝情報を担う分子。二重らせん構造をしており、塩基と呼ばれる4種類の分子からなる。
 細胞膜:細胞内外を隔てる膜状の構造物。リン脂質と呼ばれる分子からなり、細胞内部の物質や情報を保持する役割を果たす。
 プルーム:エンセラダスから噴出する間欠泉。地下海から噴き出した海水や氷粒子などが宇宙空間に飛び出す現象。

エンセラダスという土星の衛星には、地下に液体の海が存在することが知られています。この海からは、水蒸気や微粒子が噴出するプルームと呼ばれる現象が観測されており、このプルームを調べることで、エンセラダスの海の性質や生命の可能性を探ることができます。日本の国立天文台の関根所長らは、欧米の研究チームと協力して、エンセラダスのプルーム微粒子に含まれるリン酸の濃度を測定し、その濃集メカニズムを解明しました。リン酸は、DNAやRNAなど生命に必要な分子の構成要素であり、エンセラダスの海には地球の海水よりもはるかに高い濃度で存在することが判明しました。この発見は、エンセラダスや他の氷天体における生命の可能性を示唆するものであり、生命の起源論にも貢献すると期待されます。

人類は常に自分たちの起源や宇宙における存在意義を問い続けてきました。地球外生命を探すことは、そのような問いに答えるための重要な手段です。エンセラダスや他の氷天体は、液体の水や有機物など生命に必要な条件を備えており、地球外生命の候補地として注目されています。本研究は、そこにリン酸という生命に不可欠な元素が高濃度で存在することを示した初めての研究であります。これは、エンセラダスや他の氷天体における生命誕生や進化の可能性を高めるものであり、宇宙における生命多様性を考える上で重要な意味を持ちます。また、本研究は、原始地球におけるアルカリ熱水環境が生命誕生に適した場であった可能性を示唆するものでもあります。本研究は、科学的だけでなく社会的にも大きなインパクトを与えるものであると言えるのです。

太陽系の衛星エンセラダスには、地球に似た生命が存在する可能性があるという研究が発表されました。エンセラダスは土星の第六衛星で、氷で覆われた表面の下に液体の海が広がっています。この海には、地球の海と同じようにリンが豊富に含まれていることが、カッシーニ探査機の観測で判明しました。リンは、地球生命の重要な構成要素であり、DNAやRNAなどの分子に不可欠です。もしエンセラダスに生命がいるのであれば、本研究の成果は、エンセラダスの生命も、地球に似たリンを使った生命であることを期待させる。

一方、火星では異なる状況が見られます。35億年前の火星表面には、液体の水が存在していたことが確実視されており、火星探査車による地層の分析の結果、当時の水環境に存在していた有機物は極めて硫黄に富んだ組成であることが明らかになっています。もし火星生命がこのような有機物から成るのであれば、リンを多く使う地球生命とは元素レベルで根本的に異なることになります。

エンセラダスは、物質的に地球生命に類似した生命を宿しているかもしれないという点、そして、その海水が宇宙空間に噴出し、探査機で捕獲回収可能であるという点において、他の太陽系天体に類似例を見ない。現在、世界各国はカッシーニ探査に続く次のエンセラダス探査を画策しています。本成果は、エンセラダス生命を構成する物質を具体的に予見可能にし、太陽系生命探査、地球外生命の発見のための検証可能な指針を与えるという今後の展開を持ちます。

BingAIで作成


惑星に生命が現れるには、リンだけではなく、もっと複雑にその星ごとに重要な要素があるので、これがあるから、この条件だから、だけで生命がいると断ずるには、もっと必要な事柄があるらしい。

太陽の光が届かない、地球の深海には生命がいて、どのような環境下というと、熱水噴出口という海底火山みたいな場所から熱水が噴き出していて、そこから微生物や異なる生態系が存在している。

このような熱水噴出口があるというエンセラダスや木星の衛星エウロパには、熱水の環境がありそうだと考えられており、今回の研究によって、エンセラダスには地下海から噴き出している海水の飛沫から、高濃度のリンを見いだしていた。

太陽のエネルギーが地球ほどに届かないとはいえ、温かい海水が存在しているとしたら、地球の環境とは全く違った生態系が存在しているという期待感はやっぱり大きくなる。

エンセラダスに母なる海があった。いずれ、もっと調査ができることになったら、生命の存在を見つけられるかもしれない。もしかしたら、知的生命になっていることだって期待してしまう。


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