【現時点で最強合金】超低温でさらに強靱になる合金を開発したぞ
最高に硬いものって、聞くとたいていの人はダイヤモンドと堪えるだろうけれど、ダイヤモンドって簡単に割れるんだ。ハンマーでぱきーんて割れる。
ダイヤモンドはモース硬度で10という最高峰の硬さになっているけれど、硬いだけであって延びない。延びないというのは衝撃を受けきれずに割れやすくなる。「靱性」という特性なんだけれど、これが無いと頑丈ではない。
なお、ダイヤモンドよりも硬いものって、割と存在している。
人類がこれからの生活圏を広げていくためにも、とても硬いものを開発していかなきゃならない。ダイヤのような天然物ではなくて、人造で作れる強靱な金属。金属なら、加工が出来るから。
アメリカ、オークリッジ国立研究所は現時点で最強に頑丈な素材を開発した。この素材の材料はクロム、コバルト、ニッケルの合金で「CrCoNi」と名付けられた。
頑丈であるというのはただ「硬い」というわけではなくて、ある程度変形が出来る靱性というものが必要になる。靱性とは強度と伸びる特性である「延性」が合わさったもの。
構造材料を設計する時、強度もありながら、延性があり、破壊に強いことが望まれる。
CrCoNiは、高エントロピー合金(HEA) と呼ばれる合金の一種で、従来の合金は1つの元素の割合が高く、少しの量の元素が添加されているもの。HEAは各構成元素が均等に混合されて作られている。このバランスの取れた原子配列が強度と延性を両立させた。
しかも、本来なら低温になると合金はもろくなるはずなのにこの合金はさらに強靱になる。
10年前に研究チームが開発していた合金があって、その合金も液体窒素温度でさらに強靱になった。液体窒素温度は-196℃。
そして、今回の合金は液体ヘリウム温度で500メガパスカル平方根メートルという強靱さを計測した。液体ヘリウム温度は-253℃。500メガパスカル平方根メートルがどれくらいかというと、旅客機で使うアルミが約35。最高級の鋼が100程度なので、最高級の鋼の5倍の靱性があると言うことになる。
CrCoNi合金の内部構造が解明されたことで、ほかのHEAの特殊用途の採用も考えられている。まだまだコストが高いけれど、宇宙空間の極寒地や極端な環境下でふつうの金属では持たない場所などの状況に真価を発揮するだろう。
今、レアメタルでもあるコバルトとニッケルは不足している事態になっているけれども、この合金の価値は大きくなると思う。
いわゆる、最強の盾が作れてしまうな。硬くてしかも伸びる特性を持ったヨロイなんてものができたら、それはもう最強の歩兵が出来そう。なお、重さは。