肉じゃが、蛸のかんずりマリネ、納豆だれ
何か新しいものを試作するときは、どこかお店で食べたものをイメージしてみることが多い。ありていに言うとパクリということになるが、しかし完璧に模倣することのできない腕の未熟さと、それでも自分の好みに近づけようとする試行錯誤の結果、どれもそれなりに「三芳の味」と言えるようになっていると思う。
肉じゃが
炒めた玉ねぎに、塊の牛肉を数時間柔らかくなるまで煮ておいたものを、汁ごと加えて醤油と酒、少しの味醂で味を整え、じゃがいもを入れて弱火で煮込む。
いわゆる含め煮の要領で作るこの手の肉じゃがを初めて食べたのは近所の和食店「博多すずろ」に行ったときのことで、以来、そうやって作るのが当たり前のようになってしまった。個人的には調味料だと思っている玉ねぎを除けば、肉とじゃがいもしか使わないのは僕の流儀で、「博多すずろ」がどうだったかは覚えていない。ただ、あの牛肉の旨味に満ちた出汁と、浮かべたゆずの香りが印象に残っている。
蛸のかんずりマリネ
2時間ほど弱火で煮た蛸を冷まして一口大にカット。かんずり、オリーブオイル、塩、酢を合わせたものでマリネする。
「博多すずろ」と同じく近所にある家庭的フランス料理の店「LE PARIGOT」で、蛸をアリッサであえたマリネ状のもの前菜に出してもらったとき、かんずりで同じように作れば和風の面白い一品ができるかもしれないと酔った頭で連想したのを実際に試してみたのであるが、結果、一切の"和"を感じない純然たるワインのあてになってしまった。つまみとしては上等の部類だと思うのだけれど、もう少しの日本酒らしさを求めて再度試作しようと思う。
納豆だれ
納豆だれ、というよりは、セミドライ納豆のオイル漬けといったほうが実態を正確に表している。それでも納豆だれを称するのは、この源流が、知人に土産としてもらった、まさに「納豆だれ」という商品を真似して作ったところにあるからで、なぜかラベルも貼られておらず何処の何という会社か知るすべのなかったその製造者への密かなリスペクトを込めてのことである。
豆腐やご飯にかけてよし、油を取り出して炒めもに使ってもよしと、なかなかに便利なので、磨きをかけてこれは定番化させようと思っている。