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『わたしのつれづれ読書録』 by 秋光つぐみ | #46 『make it freely!』 SHIRO KITAJIMA

PARK GALLERY が発信するカルチャーの「本」担当。この夏、地元・長崎で古書店を開業したパークスタッフ秋光つぐみが、PARK GALLERY へ訪れるみなさんに向けて毎週一冊の「本」を紹介する『わたしのつれづれ読書録』。
本とは出会い。
長崎から、パークに想いを馳せながら、誰かの素敵な出会いのきっかけになる一冊を紹介していきます。

2024年9月12日の一冊
「make it freely!」SHIRO KITAJIMA(PERHAPS)

今週のあたまにパークの加藤さん・あかねさんと佐賀市に在るギャラリー perhaps さんを訪ねた。私が4月に東京を出る前から、ぼんやり約束していて、本当に実現した旅っ。

久しぶりの面々と会ったり、佐賀で活躍する皆さんとの出会いもあり。過去の積み重ねが誘ってくれた、新しい新鮮な風のようなものも感じられる、充実した二日間だった。

とにかく遠出がうれしかったし、未知の街、現地の味なんかに触れることができて、細胞がよろこんでいた、そんなかんじ。

今回、紹介したいのは、perhaps 店頭にて購入した SHIRO KITAJIMAさんによる『make it freely!』。

perhaps オーナーの北島敬明さんのお嬢さん・しろさんによる作品集だ。しろさんは佐賀市在住、2018年生まれの6歳とのこと。

おりがみ、ストロー、ビーズ、メモパッド‥日常のすぐそばに存在する文房具や小物を使って、しろさんがつくり出した愛おしい作品たちが、父・北島敬明さんの手によって丁寧に撮影、構成、デザインされた ZINE 。

ブルーのストローに銀色のおりがみやまるいシールをくっつけた「まほうのステッキ」。

紙をくしゅくしゅっとまるめ、甲羅の柄を見事に描き上げられた亀の「つるべ」。

紙にペンで描かれた歯がむき出しの大きなお口には「べろ」と名づけられている。

冒頭から続くこうした作品たちは、タイトルもさながら、思い切り溢れ出る自由な発想を、とことんかたちにしていく柔軟さに、大人の私はひれ伏すばかりである。

尊い‥。

何のために、誰のために、いつまでに‥そうやって理屈をごねている大人に、私はいつの間にかなってしまっていた。

いや、理論を構築したうえで仕事を成立させなければならない局面も間違いなくあるのでやむを得ないのだが。

それでも、しろさんの自由さ、純粋さ、軽快さ、柔軟さを心から羨ましく、美しいと思うのは私だけではないはず。私はこうして、しろさんの作品一つ一つと、父・北島さんによるこの愛の賜物に打ち抜かれてしまったのだ。

この作品集から見えるもの、それを心のどこかにある扉にそっと閉まっておきたい。

今回は、内容は敢えてお見せしないでおきたいと思う。やさしく、あたたかく、そして鋭くもあるこの作品集は、佐賀市の perhaps にて、オーナーそして、しろさんのお父さまである北島さんより、お話を聞きながらご覧いただきたい。

いつか、しろさんに会えたらいいなあ‥。

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秋光つぐみ

古書堂 うきよい 店主。
グラフィックデザイナーなど。
2022年 夏からPARK GALLERY に木曜のお店番スタッフとして勤務、連載『私のつれづれ読書録』スタート。2024年 4月にパークの木曜レギュラー・古本修行を卒業、活動拠点を地元の長崎に移し、この夏、古書店を開業。パークギャラリーでは「本の人」として活動中。
【Instagram】@ukiyoi_inn


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