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on the road to eclipse #03 『SKATE PARK IN SLAB CITY』 by 熊谷義朋(写真家)

サンディエゴを出た僕らは
ブリアにお勧めされたスラブシティのスケートパークに向かった。

サンディエゴから東に車を走らせて、3時間。
だんだんと景色は単調になり、どこまでもまっすぐ続くような道路を越えると、スラブシティは見えてくる。

後から知った事だが
ここは元々アメリカ海軍のキャンプがあった場所で
戦後、何もなくなった場所にキャンピングカーで暮らす人が集まりだし
徐々にここで暮らす人が増えていったらしい。
人口は流動的で、流れるようにやってくる人、出ていく人
ずっと暮らしている人もいるようだ
住所や電気、水は存在しない。

有名なサルベーションマウンテンを少しだけ見た後
僕らはスケートパークにたどり着いた。
車をとめて奥に進んでいくと見えて来たのは、巨大なプール状のスケートパーク、瓦礫やガラクタの山
その隣には簡易的な木製の小屋があり、バーカウンターのようなものが併設してある。
そしてその奥にはコの字型のソファ。
バーカウンターとソファには人が集まって話をしている。
小屋の横では、男が斧をふるって瓦礫を壊していた。
まるでマッドマックスのような世界が広がっていた。


奥から緑のモヒカンの少年が三輪車で笑顔で近づいてくる。
今まで見た頃がないような景色ばかりで思わずクラクラした。


バーカウンターにはいろいろな人が集まっていた。
最初に話した緑のTシャツの男性は、BMX をやっていた。
英語の訛りがかなり激しい。
彼がいうにはここを堪能するなら二日はかかるらしい。
目立ちたがり屋でたくさん喋る。

次に僕らに話しかけて来たのは、紫のバンダナを首に巻いた男性だった。
すごく陽気な男性で、名前を『ゲイジ』という
ゲイジはバスでアメリカ中を旅しているらしい
「僕の家を見に来る?」
ゲイジから誘いを受けて家を見にいく事になった

スケートパークのすぐ近くに彼の家(バス)は停まっていた。
鮮やかな青色のバス、
窓にはビートルズのメンバーの絵が書いてある
バスの入り口から中に招待してくれた

バスの中は物で溢れていた。
洗ってない食器や洗濯物、
奥の方にはベットが見える。
人の動線だけがギリギリ確保されている空間。

ゲイジはここで家族で住んでいた。
ゲイジ夫婦とさっきの緑のモヒカンの少年、
まだ生まれて数ヶ月の赤ちゃん。

窓からさす光の中で写真を撮らせてもらった。
日本での日常で交差する事ない
奇妙な世界があった。


その後、スケートパークで皆と話をして
夕方まで遊んで
最後集合写真を撮らせてもらって
その場を後にした。

今考えても本当にあったとは思えない、夢の世界のようだった。


熊谷義朋(くまがいよしとも)
1982年 福岡県生まれ
2011年 独立
2016年3月 個展 "SOIL" @ APART GALLERY & LIBRARY
https://www.kumagaiyoshitomo.com
https://www.instagram.com/kumagaiyoshitomo


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