issue 46 「罪深きイタリアの家飯風パスタ」 by ivy
食欲がないなあ …
なんてセリフを私が吐くようになるなんて!年中腹ペコ、朝からロコモコを平らげるのがデフォなのに…。なんだかこうして年老いていくんだな、って自覚しているようで気分が悪い。
さて、「夏の終わり」って言い出してから早くもひと月経とうとしている。いい加減終わって欲しいけれど、しぶとい残暑は二日酔いのように体の奥深くで不快物質を精製し続ける。きっと、夏のせいだ!食欲がないのも。
そうそう。「夏はカレー」がついこの間まで理解できなくて「一年中カレーは旨いだろ」って思っていたんだけど、今年は痛感した。暑い日には、スパイスが欲しい!辛いもの、刺激物、キレのある味…。コクよりキレ!ビールに限らずね。
で、そんな今年の夏、大いにはまっているのがトマトとニンニク、そして唐辛子のパスタ。日本にはまだ表記名がないらしいけど、イタリアの家庭料理でほぼ同じレシピのものがあったらしい。材料もだいたい常備しているものでできるから、宅飲みの〆や休日のランチにも最適で、友人からの評判も上々だ。
作り方だって簡単、この上ない。オリーブオイルたっぷりにニンニクふた欠片と鷹の爪を2本、それぞれ細かく刻んだものを火にかける。香りが立ったら予め水分を飛ばしたホール缶を入れ、あとはたっぷりとパルミジャーノをいれる。このソースをアルデンテに茹でたパスタに絡めれば完成。塩気強めにするのがおすすめだ。
唐辛子の刺激がトマトの酸味やパルミジャーノのコクと相乗効果を生んで、食道がグイグイ広げられていく魔性の味が完成する。〆のはずがもう一本ワインを開けたくなるし、塩分も油もたっぷり使うほど旨いから罪深い。
そういや夏って、食欲はないけど酒が進むよね。キレのあるメシをこしらえたら、ガンガン酒も呑みたくなる。酒を飲んだら満腹中枢が麻痺して何か食べたくなるし …。つくづく不健康な季節だ。
さて、夏の終わり、日曜日の夜中。全部夏のせいにして、キッチンへ向かおう。トマト缶、ニンニク(チューブ可)、スパゲッティ、唐辛子、オリーブオイル。これがあれぱ完璧だ。作ってしまおう。ほら、読んでいたら、食べたくなってきたでしょ。
食欲不振は解消したかな?
イラスト:あんずひつじ