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人は文化を運ぶ船〜阿波踊りのルーツ、牛深ハイヤと沖縄の三線を例に〜

熊本県の天草の最南端、まるで沖縄かのような透き通った海がある地域がある。牛深(うしぶか)地域だ。
この地域は、古くから海上の交通の要衝として栄えてきた。
この地域のお祭りといえば、牛深ハイヤ祭り。
盆踊りをイメージしてはいけない。かなりアクロバティックで全身をフルに使う踊りが特徴だ。

この踊りは当時の船乗りの間で人気となり、日本全国に広がり、日本各地の地域文化とミックスし、新しい文化を創造した。
実は、牛深ハイヤは阿波踊りや佐渡おけさのルーツでもあるのだ。

【牛深ハイヤのルーツ】


牛深に立ち寄った人々が牛深ハイヤを日本中に拡散し、新たな文化の種を蒔いていったのである。



沖縄の三線や日本本土の三味線も似た事例であると言える。

三線と三味線のルーツは中国の三弦(サンシェン)である。

【中国 三弦の演奏】


三弦が、沖縄に渡り棹が短くなって三線(サンシン)になり、堺から江戸に伝わって三味線(シャミセン)になった。
ここで胴の部分がニシキヘビの皮から犬や猫の皮に、弾く道具(ピック的な)は、水牛のツノのツメから琵琶のバチに変わった。
そして三味線が東北に伝わると津軽三味線となった。
沖縄の三線は、唄三線と呼ばれ、三線の奏者と唄者は同一だが、三味線ではより演奏が中心となるなどの変化があった。

ちなみに、ベトナムにはDam tamという弦楽器があり、ルーツは中国の三弦である。


人は文化を運ぶ船である。
運ぶ品物(ハード)と一緒に文化(ソフト)も運んでいる。

牛深ハイヤも三線も日本全国に運ばれて地域に応じて適応・進化した。そうやって文化が形成されていく。

うるさく「独自の」文化ということに固執する人がいるが、歴史を辿れば完全なる「独自の」文化なんてものは無いのである。

あなたも自分が気づいていないだけで何かしらを運んでいる船なのである。


では、また!

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