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恐ろしきヨーロッパ病、その正体について
不思議だ。実に不思議だ。
私は、欧州に到着すると「ヨーロッパ病」に罹患する。あいたたた。
ヨーロッパ病、その症状は重い。
無気力。抑うつ症状。思考力低下。食欲低下。過睡眠。
罹患すると、せっかくの週末も一歩も外に出ず、一日中ホテルで過ごす羽目になる。勿体ない。でもとにかくやる気が出ない。
私はなぜか欧州で生活するとこの症状に罹患するのである。毎回である。
フランス留学時も、ヨーロッパ病に罹患し、非常に怠惰な留学生活を過ごした。緩慢な死に向かっているかのような留学生活だったことを記憶している。
今回のオーストリア出張でも、なぜか体のはりが無く、やる気が湧いてこない。
眠い。仕事したくない。
こんな症状が現れ、私ははなはだ迷惑を被っている。私の上司は私以上に迷惑を被っている。私が全ての仕事を上司に丸投げしているからだ。帰国後に上司にぶん殴られても文句は言えない。
実は私以外にも、欧州でこのような病気に罹患する邦人は多いという。
よく知られているのでは、「パリ症候群」がある。
Wikiの情報では以下の通り。
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パリ症候群(パリしょうこうぐん、仏: syndrome de Paris, 英: Paris syndrome)とは、「流行の発信地」などといったイメージに憧れてパリで暮らし始めた外国人が、現地の習慣や文化などにうまく適応できずに精神的なバランスを崩し、鬱病に近い症状を訴える状態を指す精神医学用語である。具体的な症状としては「日常生活のストレスが高じ、妄想や幻覚、自律神経の失調や抑うつ症状をまねく」という。
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私の「ヨーロッパ病」の場合は、症状的にも、フランス社会に適用できずに適応障害的症状を呈するパリ症候群とは異なっている。
では、ヨーロッパ病とはいったい何か。
私はこのヨーロッパ病を、「欧州の自由さに精神が弛緩することにより無気力に陥った状態+燃え尽き症候群のミックス」と診ている。
説明しよう。
私を筆頭に日本人は世間を軸に生きている。ゆえに自分の中に確固たる神(信念、価値観、正義感)を持たない。そんな人間が海外に来ると、世間から解放される。これまで世間の目を見て行動してきたので、その目から解放された瞬間、プツンと緊張の糸が切れ精神が弛緩するという訳だ。さらには、自由を標榜する欧州である。弛緩も進む進む。
また、私の場合は、日本国内では、口を開くたびに「海外に行きたい」と言っている。
問題は、その「海外に行きたい」の先の目標が無いのだ。
海外に到着したその瞬間に「海外に行きたい」は目標達成となる。つまり、空港に降り立り、飛行機から降り立つその一歩目に、目標を喪失することになる。
以上が、ヨーロッパ病の正体と診ている。
これまでの経験からしてアジアでは、「ヨーロッパ病」に似た症状は経験していないから不思議である。
もうシンプルに、欧州の気候が私に合っていないのかもしれない。
とにかく、ヨーロッパ病克服のためにも(そして私の人生のためにも)、海外+αの目標を見つけることが重要であると感じる。
海外に行って精神の充足を覚えるだけの、0か1かの人生は少し寂しい。
君はいろいろとやりたいことに奔走しているから微笑ましいよ。
ではまた会社で会おう。