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採用の思考法③「人が足りないと採用基準を下げて良いのか?」
離職率の高い企業では、そのことを見越して多めに人を採用するということが起こります。しかし、本当にそれで良いのでしょうか。
このnoteでは、「採用の思考法」を参考にして、「いい採用を実現させるための方法」について考えていこうと思います。
■離職率の高い会社の悩み
ある会社の最大の悩みは、営業職の離職率の高さでした。
採用した人財が、すぐに会社を辞めてしまうのです。営業職人財が成り立たないビジネスモデルのため、辞めていった人財を確保しないといけません。しかし離職率は高いままです。すると・・・
「辞める」→「募集する」→「辞める」→「募集する」
を繰り返すことになります。
結果的に採用コストは倍々ゲームのように膨れ上がっていきます。そして、莫大な採用コストを投じて採用した人材がまたすぐに辞めてしまうのです。
こういう企業はどうすれば良いのでしょうか?
■採用をする上で、一番やってはいけないこと
組織の事情を考えると、「基準を落としてでも人財を確保しないといけない」という企業が多いのが現実です。
しかし、「採用基準だけは下げること」だけは絶対ダメです。
なぜなら、採用基準を下げたとしても、自社が顧客に提供する価値基準を引き下げるわけにはいかないからです。顧客に安定した価値を提供し続けることは当たり前のことで、それ以上の価値を提供し続ける企業だけが存亡できます。
もしも、採用基準を下げて人を採用したら、これまで以上に教育とマネジメントが必要になることは言うまでもありません。
■採用基準を下げて良い例外
そうは言っても採用基準を下げても良い例外が2つあります。
①顧客に提供する価値基準を下げる場合
②戦力化までの育成シナリオが万全な場合
①はほとんどの企業が良しとしないでしょう。
では、②はいかがでしょうか。
どれだけ採用時の基準が低くても、本来の採用基準にまで引き上げて、さらなる成長曲線を描ける育成カリキュラムやメニューが用意されているなら「採用基準を下げる選択」もありかもしれません。
しかし、それでも覚悟が必要です。
育成するためにコストを払う覚悟、時間をかける覚悟、芽が出ない覚悟、これらの覚悟を持てるなら採用基準を下げるという手段をとっても良いかもしれません。
■誰をバスに乗せるか?
変化の激しいの時代、会社も変化し続ける必要があります。
2000年当時、売り上げの6割、利益の7割を占めていた写真フィルムビジネスを4〜5年で一気に失った富士フィルムは顕著な例です。同社は、現在では「ヘルスケア領域」が売り上げ全体の40%以上を占めています。
技術革新、人口動態、トレンドなど、市場の変化に応じて会社ドメインを変えていかねばならない事態はいつやってくるかわかりません。そんな時代だからこそ、いい人財の採用は重要な課題です。
採用基準を明確に設定し、絶対にぶれてはいけません。
採用基準に満たない人財は、絶対に採用してはいけません。
まずは、一緒に働きたい人の特性や条件を言語化してみることが、採用活動のスタートラインです。
偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずはじめにバスの目的地を決め、つぎに目的地までの旅をともにする人々をバスに乗せる方法をとったわけではない。まずはじめに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうべきかを決めている。(ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則)
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