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25 終業式だから考えたい、結果よりも過程を褒める大切さ ~脳科学・心理学・メンタルトレーニングの視点~

終業式は、子どもたちが一学期や二学期の成果を通知表という形で受け取る節目の日です。このタイミングで親として大切にしたいのが、結果だけでなく「努力や工夫」といった過程を褒めることです。このアプローチは、脳科学や心理学、さらにはメンタルトレーニングの観点からも子どもの成長を大きく促します。本記事では、その理論的背景と実践的な方法について解説します。

1. 通知表をどう捉えるべきか


通知表の評価は、あくまで一時点での子どもの成績を示したものです。しかし、その背後にある努力や工夫こそが、子どもの未来を形作ります。ここで注目すべき心理学の理論が、「成長型マインドセット(Growth Mindset)」です。

成長型マインドセット vs 固定型マインドセット(キャロル・ドゥエックの研究)
• 固定型マインドセット
 「能力は生まれつき固定されている」という考え方に基づきます。この考えを持つと、結果が思わしくなかった場合に「自分には向いていない」と挑戦を諦めてしまう傾向があります。
• 成長型マインドセット
 「努力次第で能力は成長する」という信念に基づきます。この考え方では、失敗も学びの一部と捉え、挑戦を続ける力が育まれます。

通知表を受け取る際、結果だけを評価する声かけをすると固定型マインドセットを助長するリスクがあります。一方、過程や努力を褒めることで、成長型マインドセットが促進され、次の挑戦への意欲を引き出すことができます。

2. 脳科学が示す「努力を認めること」の効果


努力や挑戦を褒められると、脳内で「報酬系」が活性化します。この報酬系の働きが、挑戦や継続を支える重要な要素です。

ドーパミンと意欲の関係
• ドーパミンは、成功体験や努力が報われたと感じたときに分泌され、次の行動への意欲を高めます。
• 努力や挑戦の過程を褒めることで、脳は「この行動を続ける価値がある」と認識します。

ニューロンの可塑性と繰り返しの効果

脳の「ニューロンの可塑性」という仕組みでは、新しい挑戦や工夫が繰り返されることで神経ネットワークが強化されます。この強化は、褒められることでより加速します。特に、具体的でポジティブなフィードバックを受けることで、子どもは自ら成長を実感しやすくなります。

3. 心理学が示す「過程を褒めること」の重要性


心理学の観点から、過程を褒めることがいかに子どもの成長を助けるかを解説します。

内発的動機づけ理論(デシとライアンの自己決定理論)
• 内発的動機づけとは、「行動そのものが楽しい」「努力そのものが価値ある」と感じることで、持続的な意欲が生まれる状態を指します。
• 外的な評価や結果だけを強調すると、子どもの動機づけは「外発的」なものに偏りがちですが、過程を褒めることで「自分の努力が楽しい」と感じられる内発的動機づけが促されます。

自己効力感(バンデューラの理論)
• 自己効力感とは、「自分はこの課題を達成できる」という感覚を指します。これは、過去の成功体験や努力が認められた経験から高まります。
• 「努力してできるようになったね」といったフィードバックが、子どもの自己効力感を高め、さらなる挑戦を促します。

帰属理論(ワイナーの研究)
• 結果に対する原因を「どこに帰属させるか」が子どもの行動に影響します。
 - 外的帰属(例:運が良かっただけ) → 挑戦を続ける動機が低下しやすい。
 - 内的帰属(例:努力した結果だ) → 挑戦への意欲が高まる。
• 過程を褒めることで、子どもは「自分の努力が結果につながる」という内的帰属を育むことができます。

4. 終業式の通知表でできる実践的な声かけ


通知表を受け取った子どもにどう声をかけるかは非常に重要です。以下は、心理学の理論を応用した具体例です。

良い声かけ例
• 「この教科、評価が上がったね!どんな工夫をしたの?」(自己効力感を高める)
• 「毎日コツコツ続けてたことがちゃんと形になってるね!」(内発的動機づけを促す)
• 「評価に関わらず、これまで頑張った過程が素晴らしいよ。」(成長型マインドセットを育む)

避けたい声かけ例
• 「もっと努力すれば良い結果が出たのに。」(固定型マインドセットを助長)
• 「この評価じゃ次は厳しいよね。」(失敗を恐れる原因に)

まとめ:終業式を次の挑戦へのスタートに


終業式や通知表は、子どもの成長を見守り、未来への一歩をサポートする大切な機会です。脳科学や心理学、メンタルトレーニングの視点からも、過程を褒めることは子どもにとって大きな力になります。

結果だけでなく、その背後にある努力や工夫に目を向け、子どもたちが次の挑戦に向けてポジティブな気持ちで進んでいけるよう、親として寄り添っていきましょう。

ぜひこの終業式を、子どもの努力を振り返り、一緒に成長を喜ぶ機会にしてみてください!

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