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13 アクティブリコールを活用した「子育てメンタルトレーニング」の実践方法

日々の子育ての中で、子どもたちの学びを深めたり、記憶力を高めたりすることは、親として重要な関心事ですよね。そのための効果的なアプローチの一つが、**「アクティブリコール」**という学習法です。これは、子どもの記憶力だけでなく、考える力や自己効力感を育むことにもつながります。

今回は、アクティブリコールを子育てに活用する方法について、学校の宿題の効率についても触れながらお伝えします。

アクティブリコールとは?


アクティブリコールとは、記憶した内容を思い出す(リコールする)ことで、記憶を強化する学習法です。単に音読や書き取りを繰り返すだけではなく、記憶を積極的に引き出す行動がポイントです。

この方法は、子どもの脳の発達にも好影響を与えます。想起するプロセスで脳が活性化し、記憶の定着だけでなく、自己解決能力や自信の育成にもつながります。

なぜ音読や漢字の宿題は学習効率が悪いのか?


学校の宿題では、音読や漢字の書き取りといった反復作業が多く課されますが、これらには学習効率が悪い理由がいくつかあります。

1. 受動的な学習になりやすい
音読や書き取りでは、受動的に文字を追うことに終始しがちです。
・音読は文章を目で追いながら声に出すだけで、記憶を引き出す(リコールする)過程が含まれません。
・書き取りも、同じ漢字を何度も書くことで作業感が強まり、脳の注意が散漫になりやすいのです。

2. 「ただの繰り返し」は記憶の強化につながりにくい
記憶を定着させるには、記憶を何度も引き出して強化するプロセスが必要です。しかし、音読や書き取りは、単に見たものをなぞる行為に終始し、記憶を引き出す訓練が不足しています。
・エビングハウスの忘却曲線によれば、学習した情報は適切なタイミングで復習することで効率よく定着しますが、単純な繰り返しはこのプロセスを最適化しません。

3. 短期的な暗記に偏る
漢字の宿題では、一時的に覚えても翌日には忘れてしまうケースが多いです。
・これは、書き取りが長期記憶の形成に必要な「意味付け」や「文脈の構築」を伴わないためです。
・例えば、「何回も書いたけれど、テストでは思い出せなかった」という経験は、記憶を引き出す練習をしていないために起こります。

4. 脳の活性化が不十分
・音読や書き取りでは、単調な作業が続くことで脳が受動的になりやすく、前頭前野(考える力を司る領域)や海馬(記憶を司る領域)が十分に活性化しません。
・結果として、子どもにとっては「作業感」だけが残り、学習意欲が低下しやすいのです。

アクティブリコールを活用する実践例

1. 「今日の楽しかったことランキング」
毎晩のコミュニケーションに、**「今日の楽しかったことランキング」**を取り入れてみましょう。
例: 「学校で楽しかったことを3つ教えて!」
思い出す練習をすることで、学校での体験が単なる一過性の出来事ではなく、記憶として定着しやすくなります。

2. 漢字を使ったクイズ形式の学習
漢字の書き取りではなく、クイズ形式で記憶を引き出す練習をしてみましょう。
例: 「この言葉に使う漢字って何だったかな?」
答えられなかった場合は、すぐに正解を教えるのではなく、ヒントを与えて考えさせることがポイントです。
効果: 子どもが自主的に思い出そうとするプロセスで、脳が活性化し、記憶の定着が進みます。

3. 振り返りジャーナルをつける
子どもと一緒に、「今日覚えたこと」を振り返る日記をつけてみましょう。
例: 「今日は『海』という漢字を習ったよ!波のイメージで覚えた!」
書くことで記憶を再確認し、情報を整理する力が育ちます。

4. 家族での知識共有
学んだことを家族でシェアする時間を設けるのも効果的です。
例: 「今日覚えた漢字でクイズを出して!」
子どもが自分の知識をアウトプットすることで、記憶が深まります。

アクティブリコールを取り入れた子育ての効果

1. 記憶力の向上
記憶を引き出すプロセスを通じて、長期記憶が強化されます。
2. 学習意欲の向上
楽しいクイズや会話を通じて、学びが楽しいものだと感じるようになります。
3. 学習効率の改善
受動的な学習ではなく、積極的に考えたり思い出したりすることで、学びの効率が上がります。
4. 親子の絆の深化
対話を重ねることで、親子間の信頼と理解が深まります。

まとめ


アクティブリコールは、単なる「反復練習」ではなく、記憶を引き出すという能動的なプロセスを含む学習法です。学校の宿題での音読や書き取りに疑問を感じている方は、ぜひアクティブリコールを子育てに取り入れてみてください。

子どもの記憶力や学習効率が向上するだけでなく、日常のコミュニケーションを豊かにするきっかけにもなります。

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