09_循環系【救急救命士国家試験対策】
国家試験定期試験出題内容のまとめ
【循環系】
1. 血液循環の基本
血液は、心臓から動脈、細動脈を通り、毛細血管で酸素や栄養素の交換が行われます。その後、細静脈、静脈を経由して心臓に戻ります。この過程で、約60〜70%の血液が静脈系に滞留することによって、血圧の維持に寄与しています。
2. 心臓の構造と機能
心臓の構造
心膜: 心臓を覆う保護膜で、外層の線維性心膜と内層の漿膜性心膜から構成されます。
心筋: 収縮を担う筋肉層で、心臓のポンプ機能を司ります。
心内膜: 心臓の内壁を覆う膜で、血流の滑らかな流れを助けます。
心臓の弁
半月弁: 大動脈弁と肺動脈弁があり、心室から血液が大動脈や肺動脈へと押し出されるのを助け、逆流を防ぎます。
房室弁: 三尖弁と僧帽弁があり、心房から心室への血液の流れを制御します。
3. 心拍の調律
心臓のペースメーカー機能は主に洞結節によって決定され、一定のリズムで心拍を生成します。この心拍は、心房を経て房室結節に伝わり、さらにヒス束やプルキンエ線維を通じて心室へと伝導されます。
4. 血圧とポンプ機能
血圧は心臓の収縮(収縮期)と弛緩(拡張期)によって異なります。平均血圧は収縮期血圧と拡張期血圧の差を3で割り、拡張期血圧に加えることで計算されます。心臓のポンプ機能は、血液の前負荷、後負荷、および心拍出量によって影響されます。
5. 血圧の調節機構
圧受容体
頸動脈洞や大動脈弓に存在する圧受容体が血圧を感知し、適切な調節を行います。
ホルモンの役割
アドレナリン: 心拍数や心収縮力を増加させることで血圧を上昇させます。
レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系: 腎臓がレニンを分泌し、アンギオテンシンIIの生成を促すことで血圧を上昇させます。
バソプレシン(ADH): 腎臓での水分再吸収を促進し、血圧を維持します。
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP): 血圧を低下させる効果があり、心臓の過負荷時に分泌されます。
問題
体重60kgの成人の場合、体重の約 __________ %(約 __________ L)が循環血液量とされている。
血液は、動脈→ __________ →毛細血管の順で循環し、細静脈に流れ込む。
心臓の壁は __________ 、心筋、 __________ の3層から構成されている。
心臓を包む心膜には、外層の __________ 心膜と、内層の __________ 心膜がある。
心膜腔内に滲出液や血液が大量あるいは急速に貯留すると、線維性心膜が強靱なため心臓は拡張障害を起こし循環不全をきたす。これを __________ という。
半月弁(大動脈弁、肺動脈弁)と房室弁( __________ 、僧帽弁)がある。
__________ は通常、心臓の収縮のリズムを決めるので、心臓のペースメーカーと呼ばれる。
洞結節の調律(約 __________ /分)が房室結節の調律(約 __________ /分)や心室レベルの調律(約 __________ /分)を上回るため、洞結節がペースメーカーとして働く。
動脈内の血圧は心臓の __________ 期にもっとも高くなり、 __________ 期の終わりにもっとも低くなる。
心臓のポンプ機能には __________ 、後負荷、心拍出量が関与する。
全血液量の約 __________ ~ __________ %は常に静脈に存在している。
正常の平均血圧は、安静時 __________ ~ __________ mmHg程度である。
心臓(心収縮力)、血管(末梢血管抵抗)、血液(循環血液量)は __________ の三要素と呼ばれる。
__________ 洞および大動脈弓の動脈壁に圧力センサーである圧受容体が受容される。
交感神経機能が亢進すると、心臓では心拍数増加、心収縮力増加に伴う __________ の増加が起こる。
平均血圧=(収縮期血圧-拡張期血圧)× __________ +拡張期血圧である。
副腎髄質では主に __________ 、一部 __________ が放出される。
レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系は __________ 作用がある。
バソプレシンは __________ から分泌されるホルモンで、抗利尿作用をもつ。
心房性および脳性 __________ は血圧を低下させる。
血液量の減少や腎臓への血流が低下すると、腎臓から __________ が血中に分泌される。
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解答
体重60kgの成人の場合、体重の約8%(約5L)が循環血液量とされている。
血液は、動脈→細動脈→毛細血管の順で循環し、細静脈に流れ込む。
心臓の壁は心膜、心筋、心内膜の3層から構成されている。
心臓を包む心膜には、外層の線維性心膜と、内層の漿膜性心膜がある。
心膜腔内に滲出液や血液が大量あるいは急速に貯留すると、線維性心膜が強靱なため心臓は拡張障害を起こし循環不全をきたす。これを心タンポナーデという。
半月弁(大動脈弁、肺動脈弁)と房室弁(三尖弁、僧帽弁)がある。
洞結節は通常、心臓の収縮のリズムを決めるので、心臓のペースメーカーと呼ばれる。
洞結節の調律(約70/分)が房室結節の調律(約40/分)や心室レベルの調律(約30/分)を上回るため、洞結節がペースメーカーとして働く。
動脈内の血圧は心臓の収縮期にもっとも高くなり、拡張期の終わりにもっとも低くなる。
心臓のポンプ機能には前負荷、後負荷、心拍出量が関与する。
全血液量の約60~70%は常に静脈に存在している。
正常の平均血圧は、安静時90~100mmHg程度である。
心臓(心収縮力)、血管(末梢血管抵抗)、血液(循環血液量)は循環の三要素と呼ばれる。
頸動脈洞および大動脈弓の動脈壁に圧力センサーである圧受容体が受容される。
交感神経機能が亢進すると、心臓では心拍数増加、心収縮力増加に伴う心拍出量の増加が起こる。
平均血圧=(収縮期血圧-拡張期血圧)×1/3+拡張期血圧である。
副腎髄質では主にアドレナリン、一部ノルアドレナリンが放出される。
レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系は昇圧作用がある。
バソプレシンは下垂体後葉から分泌されるホルモンで、抗利尿作用をもつ。
心房性および脳性ナトリウム利尿ペプチドは血圧を低下させる。
血液量の減少や腎臓への血流が低下すると、腎臓からレニンが血中に分泌される。
練習問題
問題 1
体重60kgの成人の循環血液量はおよそどれか?
A) 2L
B) 3L
C) 4L
D) 5L
E) 8L
答え: D) 5L
問題 2
心臓の壁を構成する層に含まれないものはどれか?
A) 心内膜
B) 心筋
C) 心膜
D) 横隔膜
E) 漿膜性心膜
答え: D) 横隔膜
問題 3
心臓の外層の線維性心膜と内層の漿膜性心膜の間にあるものは何か?
A) 心筋
B) 血管
C) 心膜腔
D) 房室弁
E) 大動脈
答え: C) 心膜腔
問題 4
心膜腔内に大量の滲出液や血液が貯留し、心臓が拡張障害を起こす状態を何というか?
A) 心筋梗塞
B) 心房細動
C) 心タンポナーデ
D) 心臓肥大
E) 動脈硬化
答え: C) 心タンポナーデ
問題 5
三尖弁はどのタイプの弁に分類されるか?
A) 半月弁
B) 房室弁
C) 動脈弁
D) 静脈弁
E) 心房弁
答え: B) 房室弁
問題 6
心臓のペースメーカーとして知られる部位はどこか?
A) 房室結節
B) 洞結節
C) 心房
D) 心室
E) 大動脈弁
答え: B) 洞結節
問題 7
洞結節の調律はおよそ1分間に何回か?
A) 30回
B) 40回
C) 50回
D) 60回
E) 70回
答え: E) 70回
問題 8
心臓の収縮期にもっとも高くなり、拡張期の終わりにもっとも低くなるのはどれか?
A) 心拍数
B) 血圧
C) 心拍出量
D) 心収縮力
E) 末梢血管抵抗
答え: B) 血圧
問題 9
心臓のポンプ機能に関与する要素に含まれないものはどれか?
A) 前負荷
B) 後負荷
C) 心拍出量
D) 呼吸数
E) 心筋収縮力
答え: D) 呼吸数
問題 10
全血液量の約60~70%が常に存在している場所はどこか?
A) 動脈
B) 静脈
C) 毛細血管
D) 心臓
E) 肺
答え: B) 静脈
問題 11
正常な成人の安静時の平均血圧はどれか?
A) 60~70mmHg
B) 70~80mmHg
C) 80~90mmHg
D) 90~100mmHg
E) 100~110mmHg
答え: D) 90~100mmHg
問題 12
循環の三要素に含まれないものはどれか?
A) 心収縮力
B) 末梢血管抵抗
C) 循環血液量
D) 細胞内液量
E) 前負荷
答え: D) 細胞内液量
問題 13
頸動脈洞および大動脈弓の動脈壁にある圧力センサーを何というか?
A) 温度受容体
B) 圧受容体
C) 光受容体
D) 痛覚受容体
E) 化学受容体
答え: B) 圧受容体
問題 14
交感神経機能が亢進した場合、心臓で増加するものはどれか?
A) 血圧
B) 呼吸数
C) 心拍出量
D) 末梢血管抵抗
E) 血糖値
答え: C) 心拍出量
問題 15
平均血圧を計算する式で正しいものはどれか?
A) (収縮期血圧-拡張期血圧)×1/3+収縮期血圧
B) (収縮期血圧-拡張期血圧)×1/2+拡張期血圧
C) (収縮期血圧-拡張期血圧)×1/3+拡張期血圧
D) (収縮期血圧-拡張期血圧)×1/2+収縮期血圧
E) (収縮期血圧-拡張期血圧)×2/3+拡張期血圧
答え: C) (収縮期血圧-拡張期血圧)×1/3+拡張期血圧
問題 16
副腎髄質から主に放出される物質はどれか?
A) アセチルコリン
B) ドーパミン
C) アドレナリン
D) セロトニン
E) グルタミン酸
答え: C) アドレナリン
問題 17
レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系の作用はどれか?
A) 血圧降下
B) 昇圧作用
C) 抗利尿作用
D) 体温上昇
E) 心拍数低下
答え: B) 昇圧作用
問題 18
バソプレシンはどこから分泌されるか?
A) 甲状腺
B) 副腎皮質
C) 副腎髄質
D) 下垂体前葉
E) 下垂体後葉
答え: E) 下垂体後葉
問題 19
心房性および脳性ナトリウム利尿ペプチドの作用はどれか?
A) 血圧上昇
B) 心拍数増加
C) 血圧低下
D) 血糖値上昇
E) 末梢血管抵抗増加
答え: C) 血圧低下
問題 20
血液量が減少したとき、腎臓から分泌されるホルモンはどれか?
A) バソプレシン
B) アドレナリン
C) レニン
D) アルドステロン
E) ノルアドレナリン
答え: C) レニン
参考文献:救急救命士標準テキスト
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主な対象者
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効率的な学習の3ステップ
講義の復習
授業で強調された内容をメモし、理解できなかった部分は講師に質問!参考書や資料を活用して理解を深めましょう。問題を解く
問題を解くことで理論を実践に結びつけ、時間制限を設けることで試験本番への準備が整います。特に間違えた問題を重点的に復習することが重要です。解答と選択肢を見直す
間違えた問題を振り返り、なぜ間違えたのかを理解して次に活かしましょう。微妙な選択肢の違いにも注目し、落とし穴に気づく力をつけていきます。
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「聴いて学ぶ」救急救命士標準テキスト
09_循環系
①音声解説
②聞き流し1問1答
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