キュビスムとポール・セザンヌと第一次世界大戦
芸術の秋ということで国立西洋美術館で開催中のキュビスム展に行ってみた。
私の浅い知識と考えに興味があれば続きをお読みいただけたらと思う。
キュビスムといえばポール・ゼザンヌ?
いやいや、ピカソとブラックだろう!と私も思っていた。
というより、ちょっと前まではブラックってどなた?状態であった。
西洋美術館に入ると、入り口にあるロダンの地獄門と考える人。
これはダンテの神曲に出てくる一場面であるが、若い頃はそんなことも知らずに昔フジテレビで放映されたいた「トリビアの泉」で地獄で考えているということを知って、正しく「へー」と言っていた。既にトリビアの泉自体がトリビアになっているのかもしれないが…。
歴史的にはダンテの神曲に対し、人曲と言われるボッカッチョのデカメロンも面白い。ダンテはちょっと陰キャ気質で、幼い頃から好きだった彼女が亡くなってしまったことで、新曲を書き上げているのだが、元々片思いで彼女には結婚相手がいるにも関わらず、妄想を膨らまして勝手に落ち込んでいる。性格的には大変おこがましいが、私にも似ているのでは?と思わせるが、後にこれ程まで素晴らしい作品を残しているのは何を言われても偉人なのである。
なお、デカメロンもペスト大流行の時代に屋内にいた男女が会話した、ちょっと過激でエロティックな作品である。
かなり話が逸れてしまったので、キュビスムに話を戻そう。
今回のキュビスム展は約50年振りの開催とのこと。
日本国内の作品に加え、パリのポンピドゥールセンターの名作も集結し、ポンピドゥールセンターは2024年パリオリンピック後に大改修工事に入るので鑑賞できるのは今がチャンス!
この展覧会ではキュビスムの起源からその後の発展まで、絵画と歴史を学べる正にキュビスムの全てをギュッと凝縮した展覧会といえる。
キュビスムはその名の通り立体主義でキューブで表現される技法であり、ピカソでいえば「アヴィニョンの娘たち」がぱっと頭に思い描かれるかもしれない。
一般的には今回展示されているジョルジュ・ブラックの「レスタックの高架橋(1908)」がキュビスムの始まりで、フォーヴィスムの名付け親の画商ルイ・ボークセルが付けたとされている。ということは逆算するとピカソの「アヴィニョンの娘たち」は1907年に描かれてはいるが1916年まで公開しておらず、やはりブラックがキュビズムの起源なのである。
因みにピカソは調べれば調べるほど、本当に才能の塊であるのと同時に女性遍歴の凄さ&モテモテな人生を歩んできた人だなと思うが、ピカソの絵画以外の部分はまた別の機会に書けたらと思う。
と、ここでポール・セザンヌの登場であるが、セザンヌ「エスタックの海」等が1906年没後の翌年1907年に大回顧展が開催されたことで、とてつもない影響を世界の芸術家に与えた。ピカソにも影響を与え、それで描かれたのが「アヴィニョンの娘たち」というわけだ。それと同時にブラックも影響を受け、キュビスムという言葉が生まれるわけで、セザンヌは正に「現代芸術の父」なのである。
その後、1914年に第一次世界大戦に突入し、戦車や飛行機が主役になっていき、ファッションで言えば塹壕を意味するトレンチコートや、ハイブランドのカルティエも戦車=タンクから時計のタンクが生まれ、アートも疲弊したヨーロッパからアメリカへ主戦場を移していくことになる。
戦争は決して起こしてはいけないものだと思うが、そのことが人々の美意識を変え、モダンな世界へと移行していったのである。
しかし、解釈も時代によってアップデートされていくので、私自身も歴史感や考え方をアップデートしていかないといけない。次はもう少し解像度を上げてファッションなどにも絡めて記事を書けたらなと思う。
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