100本目「ACIDE アシッド」【ネタバレなし】

※本文は全て無料です。

公開日:2024/8/30
監督:ジュスト・フィリッポ(フランス)

異常な猛暑に見舞われたフランスの上空に、不気味な雲が現れる。それは南米に壊滅的な被害をもたらした酸性雨を降らせる危険な雲で、人間や動物のみならず車や建造物までも溶かしてしまう恐ろしいものだった。北部の地方都市に住む中年男性ミシャルと元妻エリースは、寄宿学校に預けていた娘セルマをどうにか救出したものの、酸性雨はあらゆるものを焼き尽くすように溶かし、大勢の命を奪っていく。フランス全土が大混乱に陥るなか、一家は安全な避難場所を求めてあてどなく歩き続ける。しかし彼らの行く手にはすさまじい群衆パニックと、高濃度酸性雨のさらなる恐怖が待ち受けていた。

https://eiga.com/movie/102046/

まえがき

どうでもいいが、100本である。
今年が始まってから見た映画が、100本である。
どうでもいいので、特に100本記念の映画とかではなく、単純に今週封切の映画を観に行った。

昨今、令和に入ってからこっちの気象のせいか、異常気象を扱った映画の説得力は増している気がする。この日観に行った映画は二本とも異常気象ものだった。(もう一本の「エルダー/増殖」は別noteにて)

「酸性雨」ってのは私が小学生くらいからずっと言われてて、しかしなんだか軽視されている異常気象のような気がする。一番恐れられている影響は「禿げる」とかかなぁ。しかしその字面をよく考えると十分に恐ろしい。

「酸の雨」。ありそうで、しかし過去の映画にあったかと言われるとちょっと思いつかない。目の付け所としてはかなりいいと思ったので、毎度のごとく劇場へ向かった。

そして、毎度のごとく中身のないまえがき…。

感想など

酸性雨の描写は良かった。舞台装置としては上々。
あらゆるものが消耗品と化し、安全な逃げ場所が存在しなくなる感じはよくできていた。

ストーリーとしてもキャラクターの動機や行動には破綻がなく、安定感はある。おかしなところはない。おかしなところはないが、ストーリーが結構たまる筋書きではあった。これはキャラクター造形への好みの問題だと言っていい。

基本的な構成は父親と娘が酸性雨から逃げながら移動するロードムービー。
この父親と娘、どちらにも人間的な欠陥がある。

父親は個人的な目標のために進路を決めるし、自分と娘の生存のためには手段を選ばない。他人の家に押し入るわ、助けてくれた人を見捨てるわ。
しかし、その判断は(自分たちの生存のためだけなら)的確で、迷いもない。現にそれで助かってる。

観ていてヘイトが溜まるのは娘の方。
一時の感情に流されて自殺行為に走ること一度ならず、父親の制止も聞かずに飛び出してはトラブルを招き、助けを求めて叫ぶだけ。自力では何も解決できないし、しない。しかも、「ありがとう」も「ごめんなさい」も父親に言わないのだ。体を張って助けてもらってるのに。何を思ってこんな造形にしたのだろうか?

父親は自分の行い(身勝手な目標設定や非情さ)の報いを受けたと思うが、娘の方はノーダメージで結末を迎えたように見える。ちょっとスンナリとは呑み込み辛い造形・展開であった。

ペーパーお勧め度

★3。
「ありそうな恐怖」という観点ではよくできているが、とにかく登場人物へのヘイトが溜まる。リアリティがあるといえばあるのだろうか…。

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