113本目「トランスフォーマー/ONE」【ネタバレなし】

※本文は全て無料です。

TOHOシネマズ日比谷にて

公開日:2024/9/20
監督:ジョシュ・クーリー(アメリカ)

ロボット生命体トランスフォーマーが暮らすサイバトロン星の地下都市。変形能力を持たない労働ロボットのオプティマスプライム(オライオンパックス)とメガトロン(D-16)は固い友情で結ばれ、いつかヒーローになることを夢見ていた。そんなある日、謎のSOSメッセージを発見した2人は仲間のバンブルビー(B-127)やエリータ-1とともに、侵入を禁止されている地上世界へ向かう。そこで恐ろしい陰謀の存在を知った彼らは、新たに授かった変形能力を使って危機に立ち向かうが、オプティマスプライムとメガトロンの正義感に少しずつ隔たりが生じ始める。

https://eiga.com/movie/101640/

まえがき

「トランスフォーマー」は結構歴史が長い(1985年~!)シリーズだが、私の人生に登場したのは、1997年の「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」からであろうか。今でこそ、私と同年代以上の人間から「声優無法地帯」と語り継がれる作品だが、テレビを見れなかった当時の私からしたら「友達の持ってる高くて面白いおもちゃ」という認識でしかなかった。
心底うらやましかったが、それだけ。周囲の子供たちの反応から、ストーリーがあるらしきことは分かっていたが、興味を持つことすらできなかった。

トランスフォーマーのストーリーに本格的に興味を持ったのは、そう、1989年の「トランスフォーマー ザ・ムービー」からだったと思う。私は1992年生まれなので、無論VHSなのだが。いつものように家を抜け出した小学生時代に、近所のTSUTAYA(当時は「メディア」と呼んでいた)でかかっていたのを、丸一本ボーっと見ていたのだ。「ザ・ムービー」はテレビシリーズとテレビシリーズの間の話であって、単体ではほとんど意味が分からない。その分からなさが逆に興味をそそったのだろう。しかし、その時はそこまで。
当時は配信サービスなんかもなかったし、それ以上追う手段がなかった。

次の登場は高校時代か。
マイケル・ベイの実写映画シリーズ第二作「revenge of the fallen」をデートで観に行くことになったのだ。一作目を観てないのに。
ハッキリ言って「リベンジ」は下品で大味な映画で、デートには全く向かない映画だ。だが、どっか忘れかけてた「トランスフォーマー」欲を再燃させるには十分だったのだ。しかも、長々としたストーリーを追いなおす必要はないのだ。映画、二本、だけ!

その次の「dark of the moon」はデートじゃなかった。確か、友達と行ったはず。ここまでは良かった。四作目以降はお話にならない出来。それ以降、トランスフォーマー映画はなんとなく惰性で行くものになっていた。それでも、見捨てられはしなかったのだ。

今回、一から仕切り直しをするっぽいアニメ映画をやると聞いて、「まぁ、観に行くか」と思った半分はいつもの惰性。もう半分は、仕切り直しへの希望かもしれない。

感想など

かなり割り切った一作だが、新しい「第一作」を作ろうという気概は感じられた。

とある登場キャラクターの設定が全く既存の映画とつながらない以上、今作が旧映画シリーズとの連続性を投げ捨てたのは明らか。
それでいて、旧映画シリーズと同じ部分(人類とのファーストコンタクトとか)をもう一回やらず、旧映画シリーズでは空白になっている「地球に来るまで」をやったのは大胆な選択だと思う。

そして媒体も、これまでの実写映画シリーズと違ってCGアニメ。
まぁ、もともとアニメとおもちゃで始まったシリーズなので、先祖返りと言えるかもしれない。思えば、今作のコンセプトでは地球人が一人も登場しない。ということは「生身の演技」が存在しないわけで、そりゃ実写映画にする意味はないよね。納得である。

映画のストーリー構成も結構割り切った、大胆な仕上がりになっていると思う。「友情の崩壊」と「圧政からの解放」と「各々の指揮官になるまで」をたったの二時間で、それもキャラクターの紹介を兼ねて行ってる。短すぎるのだ。

破綻なく詰め込まれてはいるものの、やはりかなり無理をしてる感は否めない。特にメガトロン。「友情→憎悪」、「冷静→激高」という感情の振れ幅が大きいキャラなのに、それを二時間で詰め込んだから情緒不安定に見える。しょうがないのだが…

今回は声優もリセットされているのだが、旧映画シリーズにも登場したキャラクターは割と寄せた演技で違和感はなかった。
主人公(オプティマス)のクリス・ヘムズワーズもそうだが、個人的に一番ツボったのはスタースクリーム。姿が変わっても、情けない甲高い声で誰だか分かる。よくキャラクターの特徴を抑えてあるということだろう。

ペーパーお勧め度

★4。
「素晴らしい」と言える一作ではないが、新たなスタートとしては上々のデキだろう。キャラクターの土台は出来た。次の一手をどう打つか、それがシリーズ中興を果たせるかの分水嶺になるだろう。
個人的にはやはり、地球人が絡む実写シリーズがいいな。

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