113本目「トランスフォーマー/ONE」【ネタバレなし】
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公開日:2024/9/20
監督:ジョシュ・クーリー(アメリカ)
まえがき
「トランスフォーマー」は結構歴史が長い(1985年~!)シリーズだが、私の人生に登場したのは、1997年の「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」からであろうか。今でこそ、私と同年代以上の人間から「声優無法地帯」と語り継がれる作品だが、テレビを見れなかった当時の私からしたら「友達の持ってる高くて面白いおもちゃ」という認識でしかなかった。
心底うらやましかったが、それだけ。周囲の子供たちの反応から、ストーリーがあるらしきことは分かっていたが、興味を持つことすらできなかった。
トランスフォーマーのストーリーに本格的に興味を持ったのは、そう、1989年の「トランスフォーマー ザ・ムービー」からだったと思う。私は1992年生まれなので、無論VHSなのだが。いつものように家を抜け出した小学生時代に、近所のTSUTAYA(当時は「メディア」と呼んでいた)でかかっていたのを、丸一本ボーっと見ていたのだ。「ザ・ムービー」はテレビシリーズとテレビシリーズの間の話であって、単体ではほとんど意味が分からない。その分からなさが逆に興味をそそったのだろう。しかし、その時はそこまで。
当時は配信サービスなんかもなかったし、それ以上追う手段がなかった。
次の登場は高校時代か。
マイケル・ベイの実写映画シリーズ第二作「revenge of the fallen」をデートで観に行くことになったのだ。一作目を観てないのに。
ハッキリ言って「リベンジ」は下品で大味な映画で、デートには全く向かない映画だ。だが、どっか忘れかけてた「トランスフォーマー」欲を再燃させるには十分だったのだ。しかも、長々としたストーリーを追いなおす必要はないのだ。映画、二本、だけ!
その次の「dark of the moon」はデートじゃなかった。確か、友達と行ったはず。ここまでは良かった。四作目以降はお話にならない出来。それ以降、トランスフォーマー映画はなんとなく惰性で行くものになっていた。それでも、見捨てられはしなかったのだ。
今回、一から仕切り直しをするっぽいアニメ映画をやると聞いて、「まぁ、観に行くか」と思った半分はいつもの惰性。もう半分は、仕切り直しへの希望かもしれない。
感想など
かなり割り切った一作だが、新しい「第一作」を作ろうという気概は感じられた。
とある登場キャラクターの設定が全く既存の映画とつながらない以上、今作が旧映画シリーズとの連続性を投げ捨てたのは明らか。
それでいて、旧映画シリーズと同じ部分(人類とのファーストコンタクトとか)をもう一回やらず、旧映画シリーズでは空白になっている「地球に来るまで」をやったのは大胆な選択だと思う。
そして媒体も、これまでの実写映画シリーズと違ってCGアニメ。
まぁ、もともとアニメとおもちゃで始まったシリーズなので、先祖返りと言えるかもしれない。思えば、今作のコンセプトでは地球人が一人も登場しない。ということは「生身の演技」が存在しないわけで、そりゃ実写映画にする意味はないよね。納得である。
映画のストーリー構成も結構割り切った、大胆な仕上がりになっていると思う。「友情の崩壊」と「圧政からの解放」と「各々の指揮官になるまで」をたったの二時間で、それもキャラクターの紹介を兼ねて行ってる。短すぎるのだ。
破綻なく詰め込まれてはいるものの、やはりかなり無理をしてる感は否めない。特にメガトロン。「友情→憎悪」、「冷静→激高」という感情の振れ幅が大きいキャラなのに、それを二時間で詰め込んだから情緒不安定に見える。しょうがないのだが…
今回は声優もリセットされているのだが、旧映画シリーズにも登場したキャラクターは割と寄せた演技で違和感はなかった。
主人公(オプティマス)のクリス・ヘムズワーズもそうだが、個人的に一番ツボったのはスタースクリーム。姿が変わっても、情けない甲高い声で誰だか分かる。よくキャラクターの特徴を抑えてあるということだろう。
ペーパーお勧め度
★4。
「素晴らしい」と言える一作ではないが、新たなスタートとしては上々のデキだろう。キャラクターの土台は出来た。次の一手をどう打つか、それがシリーズ中興を果たせるかの分水嶺になるだろう。
個人的にはやはり、地球人が絡む実写シリーズがいいな。
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