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失敗と成長を描く──『NARUTO』中忍試験“運命を変える一撃”から学ぶアドラー心理学

はじめに

こんにちは。「パパスン @ 心理学をアニメで例えたい人」です。
前回までは、アニメ作品の全体をざっくり例にとりながら、認知行動療法(CBT)やアドラー心理学の基本的な考え方を紹介してきました。今回は、超具体的なワンシーンにフォーカスし、その中に込められた心理学的要素をじっくり見つめてみようと思います。

取り上げるのは、『NARUTO -ナルト-』から「中忍試験」での、ナルト対ネジの対決シーン。
彼らの戦いには、「失敗」や「コンプレックス」「運命と成長」という要素が詰まっており、アドラー心理学のキーワードである「目的論」や「他者の課題」
などを理解するうえでも、とても興味深いんです。


1. シーン解説:「中忍試験・本選」ナルト vs ヒュウガ・ネジ

● 簡単なあらすじ

  • 舞台:中忍試験の本選トーナメント

  • 対戦カード:うずまきナルト vs ヒュウガ・ネジ

  • 背景:ネジは“天才”と呼ばれ、日向一族の血継限界「白眼」を扱うエリート。一方のナルトは落ちこぼれ忍者として扱われてきた過去があり、大きなコンプレックスを抱えている。

  • 戦いのテーマ:ネジは「人間の運命は生まれながらに決まっている」と信じ、ナルトに対しても「お前は落ちこぼれだ」と言い放つ。これに対してナルトは「運命なんて自分で変えてやる!」という強い意志をぶつける。

● 超具体的なワンシーン

ネジが“柔拳”と“八卦掌”でナルトのチャクラの流れを封じ、ナルトは満身創痍の状態に追い込まれます。
しかし、「自分は落ちこぼれだ」と言われ続けてきた経験を逆手に、「どん底からでも這い上がるんだ!」という気概を見せ、土の中を掘り進んでネジの足元の下から不意打ちをかける。
最終的にナルトの渾身の右アッパーがネジの顎を捉え、彼を打ち負かす──という逆転劇が繰り広げられます。

キーセリフ:
ネジ「人は生まれ落ちた瞬間に、全て運命は決まるんだ…」
ナルト「“運命”なんてのは、お前が勝手に決めてんじゃねぇよ!!」

このやりとりこそが、ナルトとネジそれぞれの“人生観”や“自己評価”を象徴しています。


2. 心理学の視点:アドラーが説く「過去よりも目的を優先する」考え方

● アドラーの「目的論」とは?

アドラー心理学では「人間は、過去に何があったかよりも、未来にどんな目的を持っているかで行動を決定する」と考えます。

  • ネジは「落ちこぼれのナルトはどうせ勝てるわけがない」という“過去や生まれ”に基づく固定観念を振りかざします。

  • ナルトは「落ちこぼれだからって諦めるのはイヤだ。俺は火影(ほかげ)になるんだ!」という“未来志向”の目的を持って行動を続けます。

つまり、ナルトは「失敗や生まれつきのハンデがあっても、これからどう頑張るかで運命は変えられる」というアドラー心理学的な**“目的論”**を体現していると言えるでしょう。

● ネジの「原因論」思考

一方ネジは「自分の家系(分家)ゆえに運命は決まっている」「落ちこぼれのナルトに才能はない」と、“過去や生まれの差”を理由づけしてしまっています。これはアドラー心理学でいう**「原因論」**に近い考え方です。

  • 「こういう家に生まれたから、こうなるのは仕方ない」

  • 「落ちこぼれなら失敗するのも当然」

しかし、ナルトは「それは本当か? 本当に変えられないのか?」と疑問を投げかけ、実際に勝利することでネジの思い込みを打ち破るわけです。


3. 失敗やハンデを乗り越えるプロセス

● (1)劣等感を自分のエネルギーに変える

ナルトは幼少期から周囲にバカにされ、孤独感も強かった。しかし、そこで終わらず**「見返してやる!」「自分を認めさせたい!」**という強烈な目的を持って修行を積んできました。
アドラー心理学でも「劣等感を感じること自体は悪いことではなく、それを行動の原動力に転換するかどうかが大事」とされています。

  • ナルトの“弱者”だった過去が、むしろ「負けてたまるか」という活力になっている例ですね。

● (2)“他者の課題”を切り離す

ネジが「お前は落ちこぼれだ」「運命を変えられない」と主張しても、ナルトはそれを真正面から受け止めるのではなく、「そっちが勝手にそう言ってるだけだ」とある意味でスルーしています。
アドラー心理学の「課題の分離」の考え方を当てはめるなら、**「ネジの思う“運命論”はネジの課題」**であって、ナルトがそこに従う必要はない。

  • このシーンは「相手がどう信じていようが、自分の目的と努力を優先する」という実践例とも言えます。

● (3)具体的な行動で覆す

最後にナルトが見せる“土の中を掘り進んでの奇襲”は、頭で考えているだけではなく、実際の行動で運命を変えようとする象徴的なシーンです。

  • 「理想を叫んでいるだけ」で終わらないのがナルトらしさ。

  • アドラー心理学も「行動の伴わない理想論は意味がない」と強調しており、“勇気づけ”の先にあるのは具体的な実行なのです。


4. 失敗を怖れる人へのメッセージ

ナルトの勝利は「たまたま運が良かった」わけではなく、“落ちこぼれ”時代から培ってきた粘り強さやチャレンジ精神が形になった結果。
「どうせ無理」と思ってしまうのは、ネジのように“過去の結果”や“生まれ”を原因論的に捉えているから。
でも、アドラー心理学の視点では「人はいつでも、自分の目的や行動を選び直せる」と考えます。だからこそ、失敗を恐れて動かないより、目的に向かって少しでも前進するほうが、運命を変える可能性が高まるのです。


5. 具体的なアクションプラン

アニメの中のナルトに学びつつ、実生活ではどう動けばいいのでしょう?
以下に3つのステップを提案します。

  1. 自分が抱えている“劣等感”を書き出す

    • 例:「経験が浅いから周囲に勝てない」「学歴がないから評価されない」など、内心思っていることを率直にノートに整理する。

    • これはナルトで言う“落ちこぼれ認定”のようなもの。

  2. それでも“自分が目指したい未来”をあえて書く

    • 「ネジに何を言われても、火影になる!」と言い張るナルトのように、“理想像”や“なりたい姿”を率直に宣言する。

    • ここで大事なのは「どうせ無理かも…」と邪念を入れず、まずはやりたいことを素直に可視化すること。

  3. 小さな行動を起こす

    • ナルトはあの奇襲という“具体的対抗策”をとりましたよね。

    • たとえば英会話を身につけたいなら、毎日5分の勉強から始める。上司に仕事を任せてもらうなら、まずは「手伝います!」と声をかけてみる。

    • 「土の中を掘って奇襲を仕掛ける」くらいの発想で、とにかく行動に踏み出すことが「運命」を動かすきっかけになります。


まとめ

今回フォーカスした「ナルト vs ネジ」のシーンは、一見“天才 vs 落ちこぼれ”のバトルでありながら、実はアドラー心理学の核心とも言える「人は過去のせいにせず、未来へ動き出すことでしか運命を変えられない」というメッセージが詰まっています。

  • ネジ=原因論

  • ナルト=目的論

どちらを採用するかで、“失敗”の意味合いも大きく変わるんですね。

もしこの先、娘(そして読者のあなた)が「失敗が怖い」「生まれつきのハンデがあるから無理」と感じることがあったら、ぜひナルトの逆転劇を思い出してみてください。
運命は“決められているもの”ではなく、“こちらが決め直すもの”かもしれませんよ。


次回予告

第4回:「変化が激しい時代に──リモートワーク・AI×アニメの未来観」
社会もテクノロジーも大きく変わり続ける中、私たちはどう生きていけばいいのか?
未来予測を描くアニメ作品を例に、アドラーの「共同体感覚」や「自己決定」などをキーワードに考えてみます。お楽しみに!


おわりに

  • コメント歓迎!

    • あなたの好きなアニメの“ワンシーン”もぜひ教えてください。そこに眠る心理学の視点を一緒に語り合えたら嬉しいです。

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