高齢者の嚥下について考えさせられる判決
皆さん、おはこんばんちわ。
兵庫県で常勤PTとして働きつつ、整体院と講師業を週末起業したり、もっと家事や育児ができて人生幸せになる男性を増やすべく情報発信をしている
中井 宏俊(なかい ひろとし)です。
2020年7月28日、こんな判決があったのはご存知でしょうか。
「ドーナツで窒息死」特養あずみの里事件 介助の准看護師、逆転無罪
詳細は記事を読んでみてください。
で、私なりの意見を先日Twittterで投稿しましたが、今回の記事はそのまとめになります。
この判決、良かったという意見が大半で、確かに准看護師1人に責任を押し付けるような一審の判決はどうかと思う。
でも、よくわからない点もあるんです。
嚥下障害がないのに食形態変更?
なのにゼリー食に変更?
変更理由も別のサイトでその理由を調べてみると、
感染対策で嘔吐防止により形態変更、
というよくわからない理由だったんです。
嘔吐するかもしれないのにおやつを提供?
それとも、いつ起こるかもわからない嘔吐に対する対策?
この辺りからモヤモヤが始まります。
ドーナツは女性が入所後にも食べていた通常の食品。だから窒息は予見困難
85歳という高齢者を介護する上で、
「いつか誤嚥、窒息するかも」
というのをリスク全く考えない、というのは准看護師のスキルとして正しいのかどうか?
これは別に、当事者を責めるものではありませんが、釈然としません。この准看護師だけでなく、他の看護師や介護職も、誤嚥や窒息に対する意識が低かったことは容易に想像できます。
同施設でのおやつの介助について、介護職の業務で、手伝った看護職に「(変更が)周知された形跡はない」
仮に介護職の業務だったとしても、看護師や准看護師が食事形態の変更を把握できないシステムが、そもそも問題でしょう。これが事の発端じゃないのでしょうか。
この判決の論調として、
おやつ介助は介護職の仕事
→だから看護師(准看護師)は知らなくていい
→だからおやつの形態を確認すべき義務はない
なんかいかにも、公務員的な、もっと言いましょうか?
お役所的
な考え方じゃないですか?
要するに『縦割り』的な仕事の分担ということでしょう?
リハビリテーション、というか、医療や介護って縦割りでは成り立たない仕事なんですよ。
それぞれの専門職が、その専門性を駆使して、対象者の命や生活を支える。
そしてそれぞれがどんなことをしているのか、その情報は共有した上で日々対応していく。
私はリハビリテーションとはそんな感じだと自分なりにかみ砕いて解釈しています。
お互いのやっていることを「知らなかった」「知るところになかった」というのは、なんかちょっと違うような気がするなぁ、という気がします。
何度も言いますが、今回の事件(事故?)の責任はこの准看護師さんにある、ということではなくて、そもそも、
お互いが何をやっているのか。何に気を付けて目の前の方々と接する必要があるのか、その情報が共有されることがない、施設全体の姿勢やシステムが問題
だったのではないか、ということです。
だから、この准看護師さんが悪い、というよりは、
みんなにそれぞれ責任があったんじゃないのか?ということ。
いずれにしても、なんかモヤモヤする事件だ。