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世知辛い世の中

AIなどのテクノロジーが急速に発達していく、大半の労働が価値を失います。人間がやるよりも機械がやるほうがはるかに安価で効率的であるからです。そうなると大半の人が失業してしまうことになります。

これは、佐藤航陽さん著「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」(幻冬舎刊/2017年)からの一節。あっさりと凄いことが書いてある。大上段に振りかぶっての「警告」という重さもなくホントにあっさりと。で、この文章に以下のような文章が続く。

そこで、ベーシックインカムの導入などを考える国が増えてくるでしょう。ベーシックインカムとは、生活するための必要最低限の生活コストを国民全員に支給する仕組みです。日本や欧州の生活保護のような社会保障を全国民に適応したものです。もしくは、巨大企業が公共サービスに近いものをほぼ無償で提供するなどして、生活コストを大幅に下げるという、企業による無償提供という意味でのベーシックインカムも考えられます。

例えば、グーグルが自社の製品しか利用できないけれど無料で住めるアパートのようなものを提供することも充分考えられる。その家は、グーグルのWi-Fiが無料で使えて、パソコンとスマホは全てグーグル製でChromeとAndroidがあり、グーグルHomeが置いてあり、家全体はグーグルNestによって制御されている(そのかわりデータにされちゃうんだけどね)。

たぶんね。これは昭和18(1943)年に「近い将来、日本、戦争に負けるかも」という話をしているようなものなんだと思う「あるかもしれないとは思わなくもないけど、まさかね」という、そんな話し。
でも、実際に昭和18年の翌年、19年末には各都市をターゲットにした空襲が本格化し、さらにその翌年の3月には東京の下町が焼き払われ一晩で10万人が亡くなる。8月には広島と長崎に原爆を投下される…それが現実だった。

僕は似ているなと思うんだ。

まさか、国民の大多数が生活保護なんて考えられないのが、現在を生きている僕ら。でも、何も知らずに「いざ来いニミッツマッカーサー出てくりゃ地獄に逆落とし」などの惹句に踊らされていた頃には敗色濃厚、しかも、敗戦時に政府には、楽々2年間はこの国をやっていけるだけの資金や物資を溜め込まれ、もちろん、お役人の多くも「私的」な隠匿を行なっていた…そういうことにだって無防備だった市井。あの頃の日本と比較して、僕らが賢くなっているという保証はどこにもない。

むしろ、あんまり変わっていないか、劣化しているのが僕ら、じゃないのかな。

佐藤航陽さんの著作「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」。みんなが生活保護で暮らし、住居やあらゆる生活利便が「タダ」なら、お金のありがたみも変わっちゃうだろうという話し…

テレビで紹介されることはなかったけれど、発売当時、ラジオでは、それなりに紹介されていて、本屋さんでも平積み、短期間で「10万部」を達成した本。だからって、幻冬者の本だし、書いてあることの全部が正しいってわけじゃないんだろうけれど、そんなに絵空事が書いてあるわけじゃないんじゃないかな。

「いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン」と思っていたら、さらに新しい経済常識にアジャストしていく必要があった…と。お金自体が充てにならないとか。じゃぁ、そうなったとしてどうするとか。

工業生産時代生まれにはキツい時代。でも、淘汰されないためには賢くなるしかないということなんだろう。一夜漬けじゃあ、学校のテストは乗り切れても人生は乗り切れないから。

2017年から、もう5年以上。時代だけは加速度つけて次へ行っちゃってるから。