海を見ていた午後
ユーミンの「海を見ていた午後」
楽曲ができた頃、「ドルフィンに、ソーダ水ってメニューはなかったんだよな」とか、「あそこは山手じゃない根岸だ」とか、「三浦半島、見えるかな」とか、そういうツッコミをいれずに
この楽曲を素直に聴けるようになったのは、最近のことだ。
音だけを聴く。ユーミンの唄の音霊だけを聴く。
歌詞の意味もあまり考えない。
そうすると、泣けてくる感じになる。
当時、この楽曲を、したり顔でバカにしていた自分が信じられないし、恥ずかしくなるくらい。
細野さんのベースは凄い。50年前にならんとする時代の演奏にはとても思えない。でも、そんな感慨も一瞬のこと。
また、何も考えずに音に集中して、酔っている。
逆に言えば何も考えられない。
「MISSLIM」全体がそんな感じ。
それでね。「MISSLIM」が終わると
いしだあゆみさんとティン・パン・アレイ・ファミリーの
「アワー・コネクション」を聴く。
「アワー・コネクション」は1977年の作品。
だから歌詞は時代を感じさせるものだ。
「ダイヤル回して手を止めた」の「ダイヤル回して」みたいな、遠い感じ。
でもね。だからこそ、まだ人間らしい「ゆとり」があった「あの時代」の空気が冷凍保存されているよう。
それをIpadで解凍している感じ。
僕にとっては、楽曲が僕自身のリアルな思い出と紐づけられていないのが、返ってありがたい。
あの時代の空気はどこにいっちゃったんだろうな。
もっと空気が軽かったんだよ。
僕が若くて、だからもっと無責任でいられたから
それだけじゃないだろうと思っている。
あの頃に比較すれば、今は、何かに追い詰められて、何かに追われている感じが強いんだ。