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「自由行動しすぎた少年の結末」

日頃は自転車で町を駆け巡ることが多いのですが、雨の日は心がポキンと気持ち良く折れてバスを利用することになります。

バスは運行数が少なく、渋滞の影響を受けやすいので、極力自転車でリスク回避しています。そんな事を言いつつも突然チェーンが外れたりと度々アクシデントを引き寄せてしまうのです。持ってるなぁ自分。それはそれは開き直りと共にある意味感心すらするのです。

僕の住む堺市には、JR 堺市駅と南海高野線 堺東駅があるのです。さらにいうとJR 浅香駅と南海高野線浅香山駅という駅名が似通った駅があるのです。子供の頃から浅香という名の下で生かされているので、ちょくちょく程よいタイミングでおばちゃんやおじちゃん達にざっくばらんにこんな質問をされることが多々ありました。

「あんた金持ちかいな」

我が家はどちらかというと裕福とは縁遠い方でした。僕の辞書にお金持ちという文字はありません。まぁ、そんな事はさておいて。

遠い記憶の引き出しを開けることそれは小学生の幼き頃。母親、妹、親戚のおばちゃんと共にバスに乗り、堺東行きのバスに揺られていました。乗車後数分が経過し、堺市駅のバス停留所の到着目前に突如僕を煽ってきた不安感。

「堺市駅やったかな」
「堺東駅やったかな」

幼心に不安感が募り、母親に確認しようと思うも車内は混雑している。その時に親戚のおばちゃんとたまたま目があった。すかさずこのタイミングを逃すべからずと口パクとアイコンタクトをフル活用し念を込めて尋ねた。

「堺市駅?堺東駅?」

おばちゃんはこくりと頷いた。

「ん?わからん?どっちや?」
「なんの頷きや」

そしてバスが堺市駅の停留所に到着。

僕は下車する人々に圧倒され、誘導されるかのように確認不足のまま他人様と共にバスを下車してしまった。完全なる自由行動を達成した瞬間であった。

走り去るバスの車内の中には母親、妹、親戚のおばちゃんの姿が見える。僕はどんどん小さくなるバスの行方を目で追いかけた。そして不安感で途方に暮れて停留所に立ち尽くしていた。

するとその時、二人の女神が僕の前に登場したのである。

「僕は迷子になったんかな?」

僕が物静かに頷くと女神たちは近くの交番に連れて行ってくれた。僕は無事に保護されたのである。警察官に迷子になった経緯を聞かれ、父親に連絡を入れて交番まで迎えに来てもらった。

それ以来、アイコンタクトというものが信じられなくなっている。バスケットボールなどでアイコンタクトされても心の中では

「それほんまかいな」と思う事さえある。

バスを降りる際にお金を払ったのかどうかの記憶もないくらい動揺していた。ささくれだった心の傷がざわざわと痛みだす今日この頃。

〜パンくずよりも小さな事をカタルヒト〜

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