【詩】七年目のレモンの木

仕事中、妻からのメッセージが届いた。
「ついにレモンがなったよ!」
そのメールの向こう側に
はしゃぐ君の笑顔が浮かんで、思わず笑った。

送ってくれた写真を見ると
レモンの木に 小さな実がひとつ。
君がずっと育ててきたあの木に
ついに、ついに、黄金の果実がなった。

春の雨に濡れた葉先
夏の陽射しに焦がれた幹
秋風にそっと背を押され
冬の静けさに耐えた根

そのすべてを越えて、いま
君の手の中にある小さな奇跡。
たったひとつの果実だけど
そこには七年分の想いが詰まってる。

指先でなぞる 柔らかな果皮
それは君の優しさの手ざわり。
ありがとう 愛しいひと
このレモンが まるで君みたいだ。


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