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『監察医 朝顔』が好きすぎる件について。

皆さんごきげんよう、ぱんだるまです。

突然ですが、『監察医 朝顔』知ってますか?
2019年7月にシーズン1、その後2020年11月にシーズン2、そして今年、2022年9月26日にSP版が決定しているフジテレビのドラマです。
このSP版の放送に合わせて、2022年8月下旬から、TVerでシーズン1の第1話から配信されています。

シーズン1のオフィシャルサイト↓

シーズン2のオフィシャルサイト↓

9月のSPドラマのオフィシャルサイト↓

このドラマは、法医学者の主人公、万木朝顔が、法医学教室で様々な遺体と真摯に向き合うことで事件の解決を手助けする、というミステリー的要素を持ちながらも、それ以上に“家族”や“仲間”など、人と人との間に生まれる繋がりを丁寧に描いています。

私がこのドラマを見始めた理由は、推しのグループのメンバーが出ている、というなんとも浅はかなものでした。
しかし一話、また一話と見ていくうちに、誰が出ているか、なんてことはどうでも良くなりました。

今回は、このドラマが好きな理由を書いてみたいと思います。

1.事件そのものよりもその裏側にあるものを丁寧に探していく姿勢

ドラマ内では、朝顔の属する法医学教室に様々な遺体が運ばれてきます。
死因はそれぞれに異なりますが、はっきりと特定できるまで、ドラマに登場する法医学者の先生たちが遺体の全身をくまなく調べていきます。

多くのサスペンスドラマだと、分からないことが分かりそうになるシーンではミステリアスかつドキドキさせるような演出が付けられることが多いですが、このドラマは違います。

法医学者の先生たちが遺体と真摯に向き合っている姿を、焦らせたりドキドキさせるようなBGMを流したりもせず、ひたすら丁寧にその作業を映し出しています。

まずこの演出がもう大正解。
これは私自身の好みの問題ですが、もともとコテコテの刑事ドラマやサスペンスはあまり好きではありません。
分からない、不安な展開に対してドキドキすることが苦手だからです。
しかしこのドラマでは、そういった鼓動が早くなるような展開はあまりありません。
なのである種、安心して見ることができるサスペンスと言えます。

そして何より好きなのは、法医学者の先生方がそれぞれの遺体を“生きていた1人の人間”として捉え、解剖を行なっていくことです。

例えば朝顔は、毎回解剖を始める前に遺体の傍に両手を置き、顔をその両手に近づけて、「教えてください。お願いします。」と小さな声で囁きます。
機械的に解剖をするのではなく、身体を勝手に開くことに対して、遺体から真実を“教わる”という朝顔の姿勢をはっきりと示している言葉です。

この姿勢は、朝顔の過去と深い関わりがあります。
この過去こそが、2つ目の理由です。

2.辛い過去も自分の糧にする

朝顔の家族として最初に出てくるのが、朝顔のお父さん、万木平です。
平は神奈川県警の刑事で、以前県警本部に所属していたベテランです。
ドラマ内では大きな事件も発生するのですが、その度に置かれる捜査本部の長が敬語を使うくらいですから、相当なキャリアですよね。

平は普段、優秀な刑事として捜査一課で働いていますが、休日には早朝から一人で岩手へと出かけ、黙々と遺品探しをします。

なぜなら、朝顔のお母さんであり平の奥さん、万木里子が東日本大震災の日から行方不明だからです。

あの日、朝顔と里子は、里子の実家がある岩手の海沿いの街に二人で帰省していたのです。
地震の後に里子は「朝顔、あと頼んだね。」と言って近所の高齢のお婆さんの元に向かい、それが朝顔が見た里子の最後の姿となりました。

遺体どころか遺品すら見つからない母の存在が、朝顔が法医学と出会って法医学者になるきっかけとなり、さらに遺体に真摯に向き合う姿勢へと繋がっているのです。

向き合い難い辛い過去がありながらも、それを受け入れようともがき、しかもそれを糧に今を生きている。
そんな朝顔の生き方に胸を打たれました。

誰しも、直視したくない状況や忘れられない辛い過去は何かしらあると思います。
しかし、そんな重たいものを抱えながらも、日々を懸命に生きている。
どれだけ時間が掛かっても、少しずつ少しずつ前に進んでいく。

一見丁寧で優しく、淡々としたドラマの雰囲気の中に、揺るぎようのないほど登場人物たちの芯の太さ、固さがはっきりとあって、見ていて自分が勇気づけられます。
あれくらいブレない軸が自分にも欲しいと見る度に思うばかりです。

3.柔らかく温かい家族

このドラマは法医学を用いた事件の解決を軸に話が進んでいきますが、それとは別軸で丁寧に細かく描かれているのが家族です。

2つ目の理由で書いた里子の存在も要因の一つですが、それ以上に父娘間での家でのやりとりが非常に多いです。

そのやりとりが、すごくいい。
古風な造りで生活感が漂う家の中で、2人が何気なく日々を過ごしているところに家族の温かみを感じます。
お互いがちょっとしたことで小言を言ってたりするのも、殊更にいい。
もはやあの家の中のシーンが映るだけで、線香の匂いが染みついた家の香りが鼻の奥に蘇ります。

線香の匂いって、おじいちゃん・おばあちゃんちあるあるですよね。
万木家でそんな香りがするのかどうかはわかりませんが、とにかく一種の懐かしさというか、日本人として本能レベルで染みついている実家感と、そこから生まれる安心感がすごく好きです。

ストーリーが進んでいくにつれて家族が増えたりもするのですが、それでも最初の父娘の間にあった空気感はずっと保たれたまま。
新しい家族も、その父娘の空気感にスッと溶け込んでいます。
恐らく最近ではかなり珍しい、でも私にとって一つの理想の家族の在り方がそこに柔らかく丁寧に描かれていて、見ているとほっこりします。


かなり自分ではまとめたつもりなのですが、気づけばかなりの分量になってしまいました。
まだまだ書ききれない魅力はたくさんありますが、今回はここまでで押さえておきたいと思います。

これだけ書いてきて何が言いたいかって?

『監察医 朝顔』、是非見てね。

(テレビ局の回し者でもなんでもございません。しがないドラマのファンでございます。)

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