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塔2023年11月号若葉集より(好きだなと思った10首)
塔の会誌を読みながら、ああいいなと思った歌に印をつけています。印をつけただけだと忘れてしまうので書き写すようにしました。こちらではそのうち10首を紹介します。
いいな、好きだなというのは漠然としているのですが、こんな素敵な表現があるのか、この気持ちわかる、ここ切り取れるのかなど、いろんな感情が混ざっています。
仕事場で仕事以外の話をし放課後めいた残業だった/古井咲花
行くと言い帰ると思う生家には家族の数の椅子が残れり/丸山かなえ
嘆くのはやめてB'zを口ずさむ傘をわすれた午後に降る雨/音羽凜
あの時に先生が言った言葉の意味今ならわかる とか全くない/川上美須紀
寝る前のやることひとつずつ終えてもう寝るだけの頭の余白/中嶋学
ドアホンの上に坐りて動かざる蛙は待つか尋ぬる吾を/服部範子
縦縞の建屋越しに見る海は今日は綺麗な穏やかな青/平田あおい
繰り返す時間しずかに持て余し祖母は誰かを案じてばかり/細尾真奈美
ストリートビューはまだ夏まだ去年僕たちは進むしかなかった/杜崎ひらく
履歴書に書ける資格を増やすとき最小単位の蜂起と思う/吉村おもち