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panda1
2021年4月25日 23:10
「ねぇ、川口さんちょっといい?」何も答えない彼女に対し、女は勝手に言葉を続ける。「さっきの返事なに?」「さっきの返事って?」まるで気にも留めずに聞き返す彼女。それが火に油を注ぐ。「わざわざ永見先生って言うの当てつけのつもり?永見先生もうざがってたの気づかないの」どうやら先程の彼女の返事が気に食わなかったのだろう。それにしても突っかかる女だなこいつ。「それ、あなたに関係あ
2021年4月22日 13:19
「吉田さんは何も言ってくれないのね」責めるような言葉に優しい語気。「すみません」言葉が見つからなく空白を埋めるだけの僕の謝罪。そんな僕に彼女は優しく告げる。「それでいいと思う。色々語っちゃったけど、変に同情の言葉かけられてもね。冷める冷める。それにさ、もう気にしない事にしたの。もう終わった事」少しあっけらかんと話す彼女。僕の頭上に爪が食い込む圧を感じる。「吉田さんには少し感謝
2021年4月17日 00:35
「僕は人面瘡です。」 その日、一番の弱々しい声で呟く僕。目に映る事実のみが僕に吐かせた言葉。しかし、覆せない重い現実である。「人面瘡⁇何ですかそれ⁇」戸惑う声。女の頭がぐちゃぐちゃになっている事がはっきりとわかる。伝わる。人面瘡が何か等、僕にもはっきりとはわからない。昔、漫画かなんかで見た記憶があるくらいである。ただ僕が知っている事はそれが妖怪であり、人の身体に顔として出る
2021年4月11日 20:35
僕はゲロを吐き続けている。すると、ドシンッ何かが倒れるような音がした。その音と同時に、何かに叩きつけられるような衝撃が僕を襲った。しかし、その衝撃の後、すぐに揺れは収まり、また僕は仰向けに静止した。暫くじっとしていると嘔吐も治った。気がつくと辺りは静まりかえっていた。少し遠くの方からTVの機械音が微かに聞こえてくるくらいだ。先程までの女の声はもう聞こえない。気持ちを落ち着かせるた
2021年4月11日 11:45
キキー ドカン!!!トラックの急ブレーキの音が鳴った。衝撃が体を突き抜けていく。父さん、母さん、実家で僕を待つ犬、数少ない友達達、入社して丁度10年の会社。さようなら……。僕の人生の走馬灯も衝撃と共に僕の体から突き抜けていった。 暗い眠りから目が覚めた。ぼーっとする頭を起こそうとする。少しずつではあるが思い出してきた。どうやら、僕は交通事故に遭い、