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日々よしなしごと~話を盗る~

ここ数日、10年に一度という大寒波の襲来で、当地も大雪にこそならなかったものの、日中も零下という厳しい寒気が続いている。早くこの寒気通り過ぎて欲しいなあ。

さて、「話を盗る」とはどういうこと?と思われるだろう。こんな言葉があるかどうかわからないが、多分どなたも経験のあることだ思う。

例えば、友人たちと話をしていて、自分がある出来事を話し始めたとする。その話は、ちょっとしたオチもあって面白いことなので誰かに話をしたいことだったとする。
話し始めると、聞いていたひとりの友人が途中の話のある部分に反応して、本題に行く前に、そこから友人自身や家族の経験など滔々と話し始めて、自分の話がいつの間にやらその友人の話にすり替わってしまい、結局自分は最後まで話せず、すっかり自分の話が相手に盗られてしまったような感じ。
たいていの場合は、それでも何事もなかったかのように過ぎて、特に険悪なムードになるということもない。そもそも重大な話でもないから、まあいっかと思うけど、なんとなくモヤッとした感覚。
ないですか?

誰かが「話を盗られる」瞬間に遭遇することもある。たまに、最初に話し始め「話を盗られた」人が少し気の毒になってしまうこともあって、途中で割り込んだ友人の話をそれとなくさえぎって、もとの話に軌道修正をすることもある。

「話を盗る」というのは、つまりこんなこと。「話の腰を折る」というのとのも微妙に違う。私自身は相手の話の先を先回りして意見を言うとか、こっちの方をよくやってしまうので、「最後まで聞いて」と時々注意されることがある。

「話を盗る」という情景。以前勤めていた職場で昼休みなどの休憩中に、他愛のない話の中でよく見たシーンだったが、「話を盗る」人は決まっていたように思う。この人は、自分のことや自分の関係する人をよりアピールしたいのか、話の輪の中心でいたいという欲求が強い人なのだと思うが、本人は全く悪気はないので誰も責めたりはしないし、そのまま笑っておしまいになって行くのが普通だった。

私は、こういうことに遭遇すると、自分のふるまいとして「盗る」方になりたくないなあ、と思うのだ。いいとか悪いとかというより、ちゃんと人の話を最後まで聞ける人でいたいと思っていた。


先日、いつもの美容院にカットしに行くと、長い付き合いの美容師の方が最近の出来事を話し始められた。
中学生の息子さんが、あるスポーツの大会に近々出場するので正月終わってすぐに合宿があったという。息子さんは、偶然娘と同じ中学でハンドボール部にいると聞いて、娘もハンドボールをやっていて同じ大会に出たことなど、そこから私は娘のことを話し始めた。さらに高校や大学の時のことなども話して、最後の方にやっとその息子さんたちがインフルエンザになり出場辞退となった、ということを聞いたのだ。

家に帰ってから、よくよく思い出して、ご家族の皆さんは大丈夫だったのかな? 息子さんたちはその後どうしたのかな? などちゃんと聞けばよいことも聞かずに、私の話ばかりしていたことに気づいた。
見事に話を盗ってしまっていたのだ。

そうと気づいたら、自分の家族のことを自慢げに話していて、したくないと思っていたことを、なんのことはない自分もやっていたんだなあと、ものすごく恥ずかしくなってきた。調子に乗ってしゃべっていた自分の姿を思い出すと隠れてしまいたくなった。
反省のためにnoteに書いておくことにした次第。

話を盗らない。

新たな今年の、いやこれからの目標に追加。
いくつになっても、課題は尽きませぬ。

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