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「好きを仕事に」「好きは趣味のままがいい」どちらが正しいの?
「好きなことを仕事にするとつらい、趣味のままが一番いい」
昔はこの意見が主流でした。
しかし昨今、
「好きなことを仕事にしよう、楽しく仕事をして生きてもいい」
という意見も広まっています。
結局どちらが正しいの? と思っている人も少なくないでしょう。
幼い頃の夢だった漫画家、そしてなるつもりはなかったが求められて始めたカウンセラー。両方の仕事をしている「漫画家カウンセラー」のわたくしの見解は、こうです。
「どちらも正しいが、自分にどちらが合うのかは見極めるべきだ」
◆人は自分の経験と置かれた環境によって正誤を決める
私はずっと、「好きなことは仕事にしないほうがいい」と言っている人は、好きなことを仕事にしてみて嫌な目にあって辞めた人か、あるいは夢半ばでやぶれた人か、そもそも夢を叶える勇気すら持ち合わせなかった人のどれかだと思っていました。
好きなことを仕事として貫けなかった自分を正当化するために、そう言っているのだと。
だから「好きを仕事に」できた人は、途中で諦めずにずっとやり切った人か、周囲が放って置けないくらいのものすごい才能があってできた人なんだ、格好いいなあ、そっちになりたいなあ、と思っていたのです。
たぶん違います。
人間観察と心理学が好きでうっかり5年もカウンセラーをやっている(今年で6年目です)私が気づいたのは、「人間とは、自分の経験と置かれた環境によって正誤を決める生き物だ」ということです。
自分がやってみて&周りがやっていて成功したこと=正しい
自分がやってみて&周りがやっていて失敗したこと=間違い
と思いやすいのです。
「好きなことは仕事にしないほうがいい」と言っている人は、自分自身がそうやって生きて困らずに人生を進んできた人です。
そういう人の周りには、同じく好きを仕事にしなかった人達が集まります。あわせて、「好きを仕事にして困難な目に遭った人」の姿や話をよく見聞きするようになります。
そして、「ああ、やっぱり好きなことは仕事にするもんじゃない、自分はこちらの選択をして良かった、正しかった」と考えます。
「好きなことは仕事にできる」と言っている人は、自分自身がそうやって生きて困らずに人生を進んできた人です。
そういう人の周りには、好きを仕事にした人たちが集まります。あわせて、「好きを仕事にしないで後悔している人」の姿や話をよく見聞きするようになります。
そして、「ああ、やっぱり勇気を出して好きなことを仕事にして良かった、自分はこちらの選択をして良かった、正しかった」と考えるのです。
上記の例でお分かりの通り、好きを仕事にしないでうまくいく人も、好きを仕事にしてうまくいく人も、世界にはどちらのタイプの人も存在します。
なのに、片側の情報しか入ってこないのはなぜだと思いますか?
◆人は自分が望む情報だけを取捨選択できる
あなたは、「カクテルパーティー効果」というものをご存知でしょうか。
1953年にイギリスの認知心理学者、エドワード・コリン・チェリーが提唱したもので、“騒がしい場所であっても、自分の名前や自分の興味関心のある話題だけは耳に入ってくる”ことを言います。
似たもので「カラーバス効果」というのもあります。
これは実際の私の体験なのですが、以前「エメラルドグリーンの車が欲しいなあ」と思っていた時、なぜか街中でやたらとエメラルドグリーンの車を目撃するようになったのです。
白や黒ならまだしも、エメラルドグリーンの車に乗っている人がそうそう多くいるはずはありません。自分が「欲しい」と思った色だから、その色が目にとまりやすくなっただけのことです。
ためしにあなたも、「赤いものを探してみよう」と思いながら街を歩いてみてください。郵便ポスト以外に「ここにも赤があったのか!」と思うものが発見できるはずです。
このように、自分が意識している特定の情報だけが入ってくる現象を「カラーバス効果」といいます。
「好きは趣味に」「好きは仕事に」も同じです。そちらを正しいと思っていると、その価値観に沿う情報しか入ってこなくなるのです。
「いやいや、私は好きなことを仕事にしたいのに、周りは『好きなことは趣味にしたほうがいい』という人ばかりですよ!」という人は、おそらく親御さんや親戚の人に勤め人が多いか、自営業だったが経営が苦しくなった人であるかのどちらかでしょう。
人は幼い頃から自然と目にしているものを自動的に「正しい」と思ってしまう心理があります。
どれだけ心の中で「好きなことを仕事にしたい」と思っていても、幼い頃から「好きなことは仕事にしないほうが正しい」という価値観に囲まれていれば、それを肯定するような人物や情報ばかりを選んで見てしまったり、気づけば集まったりしてしまうのです。
そんな中でときどきごくわずかな「好きを仕事に」している人に出会っても、きっとこう思うでしょう。
「あの人は、選ばれた特別な人で、自分とは違うのだ」と。
さて、だからといって、幼い頃に植え付けられた価値観が自分自身の本質と合うとは限りません。
冒頭で言った通り、好きを仕事にするのもしないのも、「どちらも正しいが、自分にどちらが合うのかは見極めるべき」なのです。
◆好きを仕事にしようとするとお金がなくなる人生だった私
「巴さんは好きなことを仕事にできていいですね」と時々言われますが、実は私、好きを仕事にしようとするとお金がなくなる側の人間でした。
つまり、「好きなことは仕事にしないほうがいい、趣味にしたほうがいい」人だったのです。
私について詳しい人は、
「えーっ! でも、イラストも漫画も幼い頃から好きなことで、ちゃんと仕事もされてるし、出版社から本まで出してるじゃないですか!」
と思うことでしょう。
確かに絵も漫画も昔から描いていて好きなことです。
“大きいくくりでいえば”。
ちょっとここで、私の「お金につながる創作」と「お金につながりにくい創作」を見てみましょう。
・お金につながる創作
私はそもそも、インターネットで「ネコトバ。」というオリジナル作品を描き散らしていたら、たまたま声優さんのCDを作る会社からお声がけいただいて商業デビューを果たした人です。
一番最初の商業仕事はこちら↓
その後、「ね語男子」シリーズが好評となり、シリーズが続きます。↓
この絵で株式会社Gakken(旧学研プラス)様から出版もできました。↓
こちらは自己出版本の中では今のところ一番売れた本です。↓
さてそれでは、お金につながりにくい創作を見てみましょう。
・お金につながりにくい創作
こちらは2009年に私が商業イラストレーターを目指して頑張っていた頃の作品です。↓
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家電製品や鳥などは写真を合成しているのではなく、全部自分で見本を見ながら描きました。
そしてこちらは2012年、すでに猫イラストで商業デビューした後の作品です。↓
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こちらもいちいち葉っぱをチマチマチマチマ手書きしました。
合成ではありません。
こちらは2019年に描いた絵です。↓
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上の絵はnoteの「みんなのフォトギャラリー」に登録している絵で(「ぱりこ」で検索できるのでよかったら使ってください)、お陰様でよくご利用いただいております。
しかし、こういう絵を描いて欲しいというご依頼は一度も来たことがありません。
最後に、私が現在描いている創作漫画をご紹介しましょう。
こちらはありがたいことに時々お買い上げくださる方がいらっしゃいます。
が、先ほどご紹介した「マンガでわかる!なぜあの人はキレ散らかすのか」に比べると8分の1くらいしか売れていません。
あなたも薄々気づいてきたかもしれませんが、私の「好きなこと」は人体や背景を綿密に観察したり人物関係や設定を凝りに凝ったりしてチマチマチマチマ何時間もかけて突き詰めた作品を描くことです。
しかしそれではお金になりません。
一方、その気になれば1分で描けそうな猫イラストやすぐ描けるちびキャラ漫画は、売れます。売れるというか、商業の仕事が入ってきます。
別にこれらが好きじゃない訳ではないし、楽しくない訳ではありません。
ラクですよ。綿密に観察しないし設定も凝らないしほぼ資料を見なくても手癖で描けるし、何の苦労もありません。
しかし……わかりやすい表現をすれば、「アドレナリンが出ない」とでも言うのでしょうか。
こういう記事でもわかる通り、私は自分を追い詰めるような修行をして燃えるタイプです。↓
創作にもこれを求めています。
けど、「自分を追い詰め、大好きなことを限界まで突き詰め、長時間をかけて集中し、夢に向かって邁進するとお金につながらない」人間なのです。
のんびりと自分のペースで、ときどき人の心に突き刺さる言葉を出しながら、何も考えず適当にかわいい絵を描いていたほうが、お金につながる人なのです。
◆仲良しの友人(占い師)から決定打をもらった
私はずっと、自分の努力が足りないから、まだまだ自分の心を癒せていないから、自分の心に素直になっていないから、「好きを仕事に」——好きがお金につながらないんだ、と思っていました。
私に決定打をくれたのは、全国を旅して5000人以上を鑑定したハイパー占い師・友人のほしみんこと星見かおるさんです。
私は彼女に過去3回占ってもらったことがあります。
1回目はこのインタビューの前。↓
巴さんは「バランサー」だと言われました。
ポップなアートと重厚な文章を書ける人。普通はどちらかしかできないのに、両方できるのは珍しいことだそうです。確かに。
1人でいるのも集団でいるのもできるけど、どちらかに偏ると潰れて死ぬそうです(笑)。
私は未だにこのとき言われたことを大事に、「常にバランスを考えろ」と自分へ言い聞かせています。
一番直近は2021年10月。仮面をつけている時間を長く取らないように、パートナーの前だけでは外すように、と言われました。
それもやはり「バランス」の問題だなあと思います。
そしてほしみんが算命学にハマったので(元はタロットとホロスコープの人。あと数秘)、私の心が満足すること(&性格)と、私の稼げることを見てくれました。
「巴さんは性格&心の満足が玉堂星。前例を重視して、古典的なものや書籍から学ぶことが好きで、母性愛の強い人。
玉堂が2つ入ってるから、革命的でグローバルな考え方や、経験から学ぶことも好きな人。
稼げるのは鳳閣星。のんびり生きて、鋭い観察力を元に率直なことを言って、自分に甘くしているほうがお金になるよ。
巴さんは夢を突き詰めれば突き詰めるほどお金が離れていってしまう人。
仕事がうまくいってお金が入ってくると、ついつい夢に突き進みたくなってしまうけど、仕事の場はお金の星を、趣味の場で心の満足を求めたほうがよさそう。
あとどっちかに偏ると嫌になるので、夢の星とお金の星をバランスよく使うといいみたい」
またバランス!!!!!!!!!!
ていうかそもそも玉堂が2つのせいで、前例重視と革命思考っていう真逆の要素が同時に入ってるから、そこもバランス取らなきゃいけないじゃん!!!!!
心の満足も2つのバランスをとって、夢とお金の星も両方運用してバランス取らないといけないって、めちゃくちゃ忙しくない!!!!!???????
夢だけ突き進んでいればお金が入ってくる人生にしてくれよ!!!!!!!
……って心の底から思いました(笑)。
しかしね、占いで決定打をもらったけど、よくよく考えたら普通に振り返って分析してもそういう人生だったんですよ。
認めたくなかっただけ。夢を追いかけるだけでお金が手に入る人生に憧れていただけ。自分もそうなれると信じて、諦めたくなかっただけなんです。
◆自分の気質に合う働き方すれば良いじゃん
「夢とお金がつながらない」と言われて1年くらいはショックでときどき落ち込んでいたんですけど(ほしみんごめん・笑)、なんか最近は
「人生が一粒で二度美味しい、いや三度美味しい感じがしていいじゃん?」
と思ってきました。前向きィ〜!
あと実はほしみんが「夢を追いかけるとお金がついてくる星の人」だったんですが、そちら側の事情を聞いたら
「うわあ……それはそれで大変……。
私、そのほしみんが苦労するところで全然苦労しないわ……」
と思ったので、まあどっちにも何かしらあるよね☆と開き直れたからです。
私は確かにひとつを突き詰める職人的な生き方やそういうのをしている人に憧れるけど、でも自分の気質は「なんか全部色々やってみたい」なんですよね。
「アドレナリンが出ない」とか言ったけど、ネコトバという作品を創り出し、そのおかげで色んな商業仕事ができたことも、今まで見たことのない世界を見られたことも、楽しかったし何の後悔もありません。
パパアサ(創作漫画)より気合い入んないけど、今後も描き続けていきたい作品だし(笑)。
バランスをとらないと潰れて死ぬ気質だったおかげで、私はいろんな真反対のものに興味を持ち、さらに自分自身もいろんな真反対のことをやってきたし、これからもやっていくのです。
それってなんて稀少で、楽しい人生なんでしょうか。
で、こういう気持ちを、「好きを仕事にすればいいか趣味にすればいいかわから〜ん!」となって悩んでいる人たちに経験して欲しいな、と思いました。
ほしみんに下記サイトから占いを依頼するといいんじゃないですかね!
自分が好きを仕事にできるタイプなのか、好きは趣味にしたほうがいいタイプなのか、見極めてもらったらいいじゃないの!
さあ! 今まで逃げていたあなたも、年貢の納め時ですよ!!
(私も年貢の納め時だったので上のことが発覚したに違いないです)
…………私は自分のことより人のことを宣伝する才能がある人なので、こんな長文をかけて友人の宣伝をしました(笑)。
いやでも絶対見極めてもらったほうがいいですって!
最初は私みたいにショック受けたりするかもしれないけど、それは不幸なことじゃなくて、「自分の本質を知ることで、幸せに楽しく生きやすくなる道を教えてもらえたんだ」って気持ちになるし。
では本日はこの辺で。
ごきげんよう、さようなら。
◎ほしみんとのクリエイターさん向けコラボ動画もよろしくです!
◎私の宣伝もひっそりさせてください(笑)
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