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敗者の街シリーズ「短編」読み放題プラン

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私の(一応)代表作「敗者の街」に関連した短編作品が読み放題になります。コンテンツは今後も増えていく予定。 本編はこちら https://kakuyomu.jp/works/11…
今後掲載作品は増えていきますので、個別に払うより安くなるはずです。
¥2,200
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#小説

【有料記事】敗者の街 ― Happy Halloween VI ―

【有料記事】敗者の街 ― Happy Halloween VI ―

※敗者の街シリーズ未読の方はネタバレ注意です

「よく集まってくれた。そろそろ、俺たちが恋しくなってきた頃じゃねぇかい?」

 ハロウィン。
 生と死の境界が曖昧になる日。
 僕とロッド義兄さん、アン姉さん、オリーヴの四人は、レニーさん、レヴィくんからの呼びかけによって、再び集まることになった。
 場所は「繋がりやすい」という理由でロッド兄さんの仕事部屋。ちょっと狭苦しくは感じるけれど、これでも人

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【「敗者の街」番外編】「透明ギャンブラー」の噂

【「敗者の街」番外編】「透明ギャンブラー」の噂

 生死の境で、人はある少年に出会う。
 そんな噂が、イタリアのとある地方に存在する。

 少年は、色褪せたトランプと古い硬貨を常に持ち歩いており、生死の境にいる人間にギャンブルを持ちかけるのだという。

 賭けの内容はシンプルだ。

 負ければ魂を持っていかれる。
 勝てば生き返ることが出来る。

 たった、それだけ。

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【敗者の街番外編】「殺人絵師」の噂

【敗者の街番外編】「殺人絵師」の噂

 カミーユ・バルビエという画家がいた。
 正確な名はカミーユ=クリスチャン・バルビエ。カナダ出身の新進気鋭の画家は、美貌の鬼才として知られていた。

 ヨーロッパ各地を遊学し、フランスの美術大学でも頭角を現した彼は、いつしかぱったりと表舞台から姿を消す。原因は女性関係のトラブルともされているが、真偽の程はわかっていない。
 それから月日は流れ、10数年後。
 彼は再び表舞台に姿を現し、世間を賑わせ

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【敗者の街番外編】いずれ理想に至るまで

【敗者の街番外編】いずれ理想に至るまで

 犬を飼っていたことがある。正確に言えば、今もオランダの実家で飼われているはずだ。
 友人の家庭環境の変化で、飼えなくなったのを引き取った。今実家にいるのは、その子世代だ。

 困った者を見過ごせない正義感が、確かに救った命。
 それなのに、僕はどうして、奪う側に回ってしまったのだろう。
 泣きながら飼い犬に謝る友人を励まし、全て任せろと言った日から、いったい何が変わってしまったのだろうか。

 

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