剣豪、フリーランス武士「宮本武蔵」が後世に伝えたかった生きざま ⑲
水の巻、詳細を読み解く
「どんな時も変わらぬ姿勢を保つようにしなさい」
体のかまえ(姿勢)は
顔はうつむかず、あおむかず、曲げず
(視界よく周りが見わたせるように)
目をきょろきょろさせず
(落ち着きがないように見え、視線をさとられるから)
額にしわをよせず、眉の間にしわをよせ
(策略をさとられないよう)
目の玉を動かさぬよう
(視点をさとられないように)
またたきをしない気持ちで
(一瞬も見逃さぬように)
目をややすぼめるようにする。
(目玉の動きを見られにくく)
穏やかな顔つきで
(静かな表情で)
鼻すじはまっすぐに
(正面を向いて)
やや、おとがい(あご)を出すつもりで
(浅く広く眺めるつもりで)
首はうしろの筋をまっすぐ保ち
(首が曲がらぬように)
うなじに力を入れ
(首を安定させ)
肩から全身には力の入れ方を同じにする。
(肩から全身は固くならないくらいに軽く力をいれ)
双方の肩を下げ(いからず)
(肩の力を抜きリラックスして)
背筋はまっすぐに、尻を出さず
(背中に一本の柱をもち)
ひざから足先までに力を入れ
(地に足をつけしっかりと立ち)
腰がかがまぬように腹をはる。
(腰が曲がらないように腹をはる)
武蔵は日ごろより、とるべき体の姿勢を
このように教えている。
体の姿勢から顔の表情、目の動きまで
細やかに書きしるしている理由は
人や物と相対した時に
相手をどのように見るか、また
相手からどう見られているかを
強く意識するからではないでしょうか。
「日ごろの姿勢のとりかたを
戦闘のときのようにして
戦闘の場合も日ごろと同じ姿勢で
たたかうことが大切である。」と
説いている。
とりわけ、このような姿勢をとっていれば
現代人でも
日常や仕事においても機能的で
よい姿勢なのではないでしょうか。
”眉の間にしわをよせ” だけは
気むずかしそうな表情で
誤解をまねきそうなので
やめたほうがいいと、思いますが。
おおむね好感を持たれる
姿勢だと思います。
参考、引用「五輪書」神子侃訳 徳間書店