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【祀画】前川多仁
染織作家 / 兵庫県在住
僕は「神なるもの」やその「入り口」をつくっています。そして何かしらその「神なるもの」に救いや希望を求めているのです。
「なるもの」としているのは、ニーチェの時代から神はもういないと多くの人は気づいているからです。それにもかかわらず、人は神がいないと知りながらも神の代替となるもの、例えば現在であれば、アイドルやアニメキャラ、ロボットアニメ、女優、俳優、ロックスター、ヒップホップグループ、SNSのインフルエンサーなどの背後に神を求めているのではないかと僕は考えています。それらを自らの依り代にして、不安や恐怖、また先の見えない毎日から、少しでも救いをえようとしているのではないでしょうか。
悲しいかな、僕たち人は「神なるもの」を依り代にしなければならないほど、弱く脆い存在であるのではないだろうかと。だから僕は「神なるものを」やその「入り口」を少しでも多くの人が救われるように、また何より自分自身が救われるためにつくるのです。
幸いにも今回は「祀絵」というお題をいただきました。まさしくこれは僕自身にとって、ものづくりのテーマそのものといっても過言ではありません。土着的な風習として「神なるもの」の世界に入り込むために世界各地では「祭」すなわち「祀り」がおこなわれます。この非日常的な行為をとおして人は「神なるもの」に出会い、神秘的な体験から救いや希望へと放たれる瞬間があるのです。
岡本太郎は「芸術は呪術である。」という有名な言葉を残しました。このコロナ禍の中、僕のつくるものも、少しでも多くの人にとって、そうありたいと強く願います。
【出展作品】
『舎利礼文』
『諸法無我』
『祀』
『祓』
『虚』
『幻』