冷凍食品は身体に良い?!フランスの冷食界を牽引する「ピカール」から、未来の食生活を考える
by パケトラライター 大内聖子(フランス・パリ在住)
冷凍食品は、忙しい時や、食卓に一品足りない時にとても便利なアイテムですよね。近年「時短・便利」のキーワードから「冷凍食品なのにこんなに美味しい」という感動を提供できる商品が続々と発表されています。
日本冷凍食品協会によると、2019年に日本国内における冷凍食品の売り上げは7,131億円に達しました。外食産業の人出不足やテレビCMを活用した企業の積極的なPRなどが功を奏して、どんどん売り上げを伸ばしているようです。
私が暮らすフランスでも冷凍食品はニーズの高いプロダクトです。フランスでは現在、週に1回以上冷凍食品を食べる人が71%いると言われており、その消費量は一人当たり年間36kgだそうです。日本人の消費量は年間22kgなので、およそ1.5倍もの差があります。
「手料理」にこだわることで、時間も手間も持っていかれてしまう。だけど、きちんと栄養のあるものを食べさせたい、できれば冷凍食品に頼りたくない———冷凍食品の売り上げが伸びてきているとはいえ、時短ニーズと罪悪感の狭間で上手く利用できていないという方も多いのではないでしょうか。
美食大国と言われるフランスですが、もちろんフランス人が毎日グルメを楽しんでいるわけではありません。共働きが当たり前のフランス家庭においては、どちらかというと美味しさより時間を尊守しているのが現実です。
フランスの冷凍食品事情とは?フランスと日本で明らかに違うのは、冷凍食品の内容と、その使い方にありました。
冷凍食品専門スーパー「ピカール」
ピカールはフランスのPicard Surgeles SAS社が展開する冷凍食品専門のスーパーマーケットです。フランスを中心に、イタリア、ベルギー、スウェーデン、スイスと欧州5カ国に1000店舗以上を出店。日本にも、東京と神奈川のみ出店済みです(2020年9月7日現在)。
フランス本国ではホームパーティー等の定番メニューとして使われており、2010年から2016年まで「フランス人が好きな食品メーカー」7年連続1位を獲得するなど、国民的な人気を誇るブランドなのです。
Photo:ピカール外観
フランス人はピカールに対して高級なイメージは全く持っておらず、「手軽さ」と「高品質」を象徴とした一般市民の助っ人的存在。具体的な特徴として、まずは「1000種類を超えるラインナップの豊富さ」があります。
Photo:冷凍のカット野菜コーナー。調理すると、冷凍ものとは思えないほどシャキシャキした歯ごたえがあり、おいしくいただけます。
Photo:鱈の切り身だけで数種類のバリエーションがあります。
日常的に使える商品として、カット野菜や魚の切り身など、食材を冷凍しただけのものが実に豊富です。洗う、切るといった面倒な工程がすべて済んだ状態で売られているので、料理をする際にも効率的でゴミがほとんど出ないのが利点です。
Photo:解凍するだけでOKのメイン料理。
ピカールの売り場は、「普通のスーパーマーケットの商品がすべて凍っている状態」と言えるでしょう。
Photo:ピカールが力を入れているというデザート類。日本でも人気のエクレアやマカロン、フォンダンショコラを始めとするフランスならではのデザートが並びます。
Photo:もちろんBIOコーナーも欠かせません。
レンジで温めるだけで食べられる個別商品に加え、「サーモンのパイ包み」「フォアグラスライス」など、ちょっとしたホームパーティーで使えるような商品も。
Photo:サーモンのパイ包み (出典:ピカール公式HPより https://www.picard-frozen.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=recipe201712_01&vid=&cat=RCPSAE&swrd=&pno= )
見た目も華やかで、誕生日や引っ越し祝いなどの特別な日にも活躍します。どこか後ろめたさを感じる冷凍食品を、記念日に利用できるように工夫したのが日本の冷凍食品にはない特徴でしょう。ピカールでは手軽さを大切にしつつも、食の豊かさや見た目の美しさに重点を置いている印象を持ちました。
気になる安全性の問題
冷凍食品を利用するにあたり、一番気がかりなことに「栄養バランス」「過度な保存料と味付け」があると思います。ピカールは、その心配を根本から払拭する独自の品質管理を行っていることで有名です。
・食品安全を脅かすハザード(危害) の発生を回避するため、原材料の産地を厳選している
・遺伝子組み換え生物原料、人工着色料、味覚増強剤の使用無し
・硬化油または部分硬化油、アスパルテーム、電離放射線処理済み食品の使用無し
・それぞれにオメガ3脂肪酸含有、低塩、鉄分豊富、脂肪分2%以下などの特徴があり、適切な栄養素の摂取をサポート
・すべての商品パッケージに油やでんぷんの種類名などの全原材料名が一覧に表示され、アレルギーおよび過度な摂取を防ぐことができるようになっている
※ピカール公式サイトより抜粋( https://www.picard-frozen.jp/Page/AboutUs.aspx )
こういったピカールの安全性がしっかり伝わっているからこそ、消費者も積極的に購入に踏み切れるのだと思います。実際、私の義理のフランス人家族においても冷凍食品の使用頻度が多く、「スーパーで売っているサンドイッチより冷凍食品の方が絶対身体によい」と豪語しています!
ピカールの冷凍食品を実食してみた
冷凍食品はお弁当への利用やストック食品としての印象がありますが、ピカールのラインナップはスターターからメインディッシュ、スイーツ系まで種類も内容もバラエティ豊か。美味しさだけでなく「時間」も買ってみようと思い立ち、ある一日の夕食をピカールで買った商品のみで飾ることにしました。
Photo:ピカールの看板商品を5つ購入してみました。
Photo:まずは夕食前のビールのおつまみにBIOポテトをチョイス。
Photo:オーブンで焼くので、油で揚げる手間と油分を気にせずに済みます。
Photo:約20分後、こんがり焼けたポテトはまるで揚げたてのよう。驚きです。
そして今回の夕食は低糖質・高タンパクに重点を置きました。
Photo:南仏の定番野菜料理、ラタトゥイユ。フランス産の野菜だけで作られているそう。電子レンジで7分加熱するだけです。
Photo:4種のチーズリゾット。こちらも電子レンジで4分加熱するだけです。
Photo:飼育から加工までをフランス南西部で行っている「フランス南西部産・鴨肉のコンフィ」は、湯煎で20分待つだけ。
Photo:「楽」の一言です。
湯煎をしながら電子レンジで温めるという同時進行が可能なこと、洗い物が少ないこと、そしてなんといってもゴミが少ないというメリットがありました。
Photo:出来上がりがこちら。立派なフランス家庭料理になりました。
ピカールの安全性が頭に入っていたので罪悪感はゼロです。嬉しいことに、薄味なので塩分の過剰摂取といった心配もなく、大変美味しくいただきました。特にラタトゥイユの容量は1㎏と好きな量だけ使えるので食品ロスも出ません。パスタに加えるなどアレンジが可能なのと、野菜が高騰した場合でもストックしておける安心感が最高です。
冷凍食品のニーズは高まる一方
我が家も共働きで、コロナ禍で夫婦ともども在宅勤務にシフトチェンジとなっていました。通勤の煩わしさは無くなったものの、家事は二倍近くに増え、以前と違った労力が生まれたのも事実です。ピカールの冷凍食品で飾った夕食は、そんなストレスから解放された小さなご褒美デーとなり、結果は大満足。
思えば東日本大震災からコロナウィルスまで、この10年間の日本は災害が尽きませんでしたよね。それによって食品事情も自然とストックができるもの、時短効果があるもの、かといって栄養素を損なわないもの…と、ものすごいスピードで進化しています。「間に合わせ」的な立ち位置だった冷凍食品が、メインデッシュを担う存在になる日もそう遠くないかもしれません。
きちんとした安全性と栄養効果が伝われば、子どものいる家庭だけではなく単身者や高齢者など幅広い層に受け入れられると期待しています。皆さんがより正しく、美味しく、冷凍食品を利用でき、少しでも日頃の忙しさから解放されるよう願っています。
by パケトラライター 大内聖子(フランス・パリ在住)
ビジネスのヒントに。「パケトラ」