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今日が、大切な人の存在を噛み締められる日になればいい。

「 生まれてきてくれて、ほんとうにありがとう… 」


普段から、大切な人のことを考える瞬間なんてない。
仕事や子育て、毎日の日々の忙しさにかまけて、気づいたら時間がすぎている。あんなに生まれてきたときは、心の底から妻と娘に感謝していたのに、日々の育児の中でどんどん薄れていく。

仲の良い関係性の人ほど、やってくれるのが当たり前で、そばにいるのが当たり前になる。
ただ、面と向かって「ありがとう」や「感謝している」なんて、とてもじゃないけど言えやしない。

人生でそんな言葉を口にする機会が、後何回あるんだろう?
ふと、落ち着いて、心の底から大切な人を感じられる瞬間は何回くるんだろう?

結婚記念日?子どもの入学式?成人のタイミング?

人生に、大切な人を感じられる瞬間は案外少ないのかもしれない。


だから、少し強引ではあるんだけど、個人的には”防災”がそんな瞬間になればいいなと思っている。

100年前の今日。関東大震災が起きたらしい。
死者は約10万5,000人。関東全土が焼け野原になった。
そんな過去の災害を忘れないために、9月1日は防災の日になった。

「まさか自分が被災するなんて…」
学生時代から東日本大震災をはじめ、全国での被災地支援を10年以上続けるなかで、多くの人が悲しそうにつぶやいていた。

日常から防災を広めたいと思って、2020年9月に会社を創業し、おしゃれな防災グッズだけを集めた防災カタログギフト事業や、WEB上でいくつかの質問に答えるだけで最適な防災対策を提案するEC事業などを行っている。

でも、最近特に思うのは防災対策は残念ながら、マイナスをゼロにすることであって、ポジティブな価値を生み出せていないということ。
防災対策をすることで、楽しさも、便利さも、快適さも、喜びも、健康も、普段人々がお金を使いたくなるポジティブな価値が全然ないから、みんな防災に興味がない。

「防災は必要だからやろう!」

「災害が起こったら恐ろしいから仕方なくやる」

こうして、対策が自然にできる人や対策を促してくれた人のおかげで、日本では4〜5割程度の人が防災に取り組んでいる。
でも、それにも限界があるかもしれない。


だから、”防災”という大切な人を守るための行為が、自然と大切な人を噛みしめる瞬間になればいいなと思っている。

「今年も何もなくてよかったね。」
なんて笑いながら、家族で1年に1回防災の日に備えを見直す行為が、自然と大切な人の存在を感じられる。そんな日になればいい。
一年に一度、この日だけは、あなたがいてくれてよかったと。そう思える日になれば、防災もポジティブな価値を持つかもしれない。

実際に、3.11の震災の出来事を、恐怖で伝えるのではなく、ポジティブなものとして伝えるために、NHKが実施した企画がある。

「あなたの大切なものはなんですか?」

そんな問いに対して、視聴者が自分の大切だと思うものをスマホで撮影して、その動画の投稿をつなぎ合わせて一つの番組にする。

普段は言えないようなことも、こんな良い意味での言い訳やきっかけがあれば、人々の防災に対する意識も変わっていくのかもしれない。そんな方法をこれからも模索していきたい。




「いつもありがとうなんて、そんな恥ずかしいこと面と向かって言わんといてよ」

「いや…今日防災の日だからええやん!笑」


そんな日を目指して、防災を広めるためにがんばります。

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