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poconen
万人に好かれるモノは私は作れない
画用紙を開く。
真っ白な紙に、手に取った赤色のクレヨンで、円を描く。
二重。
三重。
文字を書く。
アルファベットでもない、日本語でもない、
笑いながら呪文を唱える。
そこから出てくるのは、長い声のネコではない、
エロイムエッサイム。
エロイムエッサイム。
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悪魔を召喚しようと夜な夜ながんばっていた小学生は健全に成長して、大学を卒業。採用された会社で入社半年後「お前は、できるやつだ。俺はそう確信している。俺がそう言うんだから、絶対そうだ。」部長から商品開発を任された。
火を炊き、グツグツ煮える液をかき混ぜ続ける。
毒を抜いた蛙、イモリ、
蝮に、トカゲ。
マクベスか。
出来上がった美しい食べものには、部内の誰も反応しなかった。
「お前は、大衆向けのもんは作れんなあ。」
部長に呆れられて、商品開発から外された。そもそも私は商品開発を希望して入社していない。
もやもや
ども… ども… ども…
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私の作ったモノが万人受けしないのは、幼い頃から自覚している。
クラスの中で1人だけが興味を示してくれるくらいの、そういうモノを作るのが、私にとっては心地いい。
理解されなくて当然。
理解されたら驚く。
そして、ニヤニヤする。
さあ、こんなん出来ましたけど。
お味はいかが?
よくわからない?
それもまた、一興。
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