考えることがなぜ大切なのか
ぼくは人の健康に携わる仕事の中で、何千人もの人と接してきた。心を制御することが簡単ではないことは承知している。
生きていく中で、負荷(ストレス)を避けることは不可能だと思う。
ストレスを解消するといっても、それは一時的なものでしかないことは誰でも知っている。
ポジティブシンキングや自己啓発も根本的な解決にはならない。本当の苦悩は、カラ元気や自己暗示ではどうにもならないのだ。
苦悩の原因は、思い込みや期待だ。
これは私たちが生まれ持った脳の機能による「推論」と「現実」のズレによって起こることが多い。そのズレを埋めるのに哲学思考が有効なのではないかと考えている。
それは、他人からの説得ではなく、能動的な思考によるものでないと解決できないのではないだろうか。
人間の悩みの多くは、繁殖相手の獲得やそのための自己顕示、金銭的欲求など利己的なものが対象だ。そういったものは放置していても大した害はない。苦悩とはいえないのだ。
問題になるのは「生きること」についてではないだろうか。
生きていく上で、起こる出来事に対して、脳の機能、内分泌系、老化、こういったものが反応し、そこから生じる苦悩は、側からみてもわからない。その苦悩を一つ一つ解決することは大変だが、哲学的な解釈ができるのではないかと思っている。
哲学思考によってそれを解決を試みた人はほぼいないはずだ。
ぼくは、思考を変更させることで生まれる世界観が、新たな脳の推論と現実を生み出すのではないかと考えている。それはこれまでの苦悩を変化させるはずだ。
だからといって、ちょっと考えただけで解決できるといっているわけではない。難しいことは誰がやっても難しいからだ。
あなたの思考に少しでも貢献できればと今日も考えている。