パニック障害
歌手の優里さんがパニック障害を公表したニュースを読みました。今回はパニック障害について解説します。
パニック発作の患者さんでよく聞くのは...
朝の通勤ラッシュ中。
電車の中で急に息苦しくなり、心臓が激しくドキドキし始める。手のひらに汗がにじみ、体が震えだす。胸に圧迫感を感じ、呼吸が浅くなり、「このままでは息ができなくなるかも」と強い不安が襲ってくる。
「ここから逃げられない…電車が止まるまで待てないかもしれない」と考えで頭がいっぱいになる。さらに、次の駅まで待てないという恐怖感に圧倒され、発作が強まる。
繰り返す内に通勤できなくなる。
パニック障害の診断がつく人は人口の2〜4%程度であり、意外と多いです。30人クラスだったら1〜2人はいるのかも。まだ病院に行ってない人や、診断がつくレベルじゃないけどパニック障害の傾向がある人はもっといるかもしれないですね。
パニック障害は、突然の強い不安や恐怖に襲われる「パニック発作」が繰り返し起こる状態です。この発作が起きることへの不安【予期不安】や、発作が起きやすい場所を避ける【広場恐怖】によって、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。学校や仕事に行けなくなる原因にもなります。
パニック障害の発症の原因
パニック障害は、単に一度のストレスで発症するわけではなく、「もともと不安になりやすい素質」が影響していることがあります。加えて、「これまでの人生で経験したこと」も、発症に影響を与えることがあります。
たとえば、「親から理不尽に怒られる経験」や「学校でのいじめ」など、幼少期からの理不尽な出来事が多いと、心理的に恐怖や不安を感じやすくなり、「不安が強化されやすい環境」が整ってしまうことがあります。これにより、心が不安定になり、パニック発作が発症しやすくなることが考えられます。
薬物療法
パニック障害の治療には、症状をコントロールするための薬が用いられます。薬物療法は、発作を予防し、不安感を軽減するのに有効です。ここでは、一般的に用いられる薬を紹介します。
抗うつ薬(SSRI)
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、パニック障害の治療において最も一般的に処方される薬です。SSRIは、脳内のセロトニンの量を増やすことで、不安や恐怖の感情を和らげます。効果が現れるまでに数週間かかることが多いため、少量から始めて徐々に増量し、発作の予防を行います。飲み始めに気持ち悪さが出ますが飲み続けると次第に身体が慣れて、気持ち悪さは治ってきます。
代表的な薬:
- レクサプロ(エスシタロプラム)
- ジェイゾロフト(セルトラリン)
- パキシル(パロキセチン)
ベンゾジアゼピン系抗不安薬
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、急性のパニック発作や不安を即効的に抑える効果があります。発作が起きた際に症状をすぐに和らげるために使われることが多いです。
効果は強く、すぐに効果を実感できるのでその場しのぎで発作が起きそうなときに内服するのもありです。
しかし即効性があるためたくさん使いたくなり依存的になりすぎるので注意が必要です。
代表的な薬:
- デパス(エチゾラム)
- ソラナックス(アルプラゾラム)
- ワイパックス(ロラゼパム)
心理療法
認知行動療法(CBT)
認知行動療法(CBT)は、パニック障害の治療において最も効果的な心理療法の一つです。CBTでは、不安や恐怖を引き起こす思考パターンや行動を理解し、それを改善するためのスキルを学びます。特に、発作を恐れて生活が制限されるのを防ぐためのスキルを身につけることが重要です。
パニック障害の方向けの認知行動療法(CBT)の記事についてはまた記事にします!
認知再構成(考え方を修正する)していきます。
パニック障害の方は、発作に対する「誤った思考」を持ちがちです。たとえば、「このまま発作が続くと死んでしまう」と考えるかもしれません。CBTでは、このような非現実的な思考を現実的なものに修正して、「これはパニック発作による一時的な息苦しさで、時間が経てば落ち着く」と考えられるようにしていきます。
まとめ
パニック障害は、「不安になりやすい素質」に加えて、これまでの経験や環境の影響が絡み合って発症することが多いです。特に、幼少期からの理不尽な出来事や恐怖体験が不安を強化し、パニック発作の引き金となることがあります。パニック障害の治療では、SSRIによる薬物療法や、認知行動療法(CBT)を活用して発作をコントロールしていくことが大切です。
また、「過去の経験を整理し、自分の不安の根本原因に向き合うこと」も重要な要素です。焦らず、自分のペースで回復に向かっていくことが何よりも大切です。