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カリガ
2017年11月8日 19:36
ずいぶん日が短くなってきた。今日も相変わらずの売れ行きで溜息交じりに店を閉めようかと思案していると入口のドアが開いた。くたびれたスーツを着た中年の男だった。宙を漂う金魚が驚いて私の周りに集まる。「いらっしゃいませ」少し上ずった声で挨拶すると男は軽く会釈する。「反魂香はありますか。あるだけ欲しいのです」私は一瞬固まってしまった。「反魂香」久しぶりにその名を聞いた。「あ、実はもう扱