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カリガ
2019年6月7日 01:23
風が強くなった。風は春と夏が入り混じった心地よい風だった。金城月夜は鼻歌を口ずみながら石をぺチぺチと叩いて「はい。2人で押してみてください」「え、えぇ…これだけ?」丸澤圭一郎は疑り深い目で金城月夜を見た。金城月夜はさっさとやってよと言わんばかりに手をしっしと振った。大野陽太と丸澤圭一郎は力を入れて石を押した。すると、あら不思議!石はするすると動き出した。そして、空洞にピタリとはまった。
2019年6月1日 22:48
暗澹とは将来の見通しが暗く、何の希望ももてず悲観的なさま。 のことである。動かぬ石を前にして丸澤圭一郎は暗澹たる思いだった。彼は石に腰掛け頭をかきむしりながら一体、いつになったらこの問題は解決して自分はワインを飲むことができるのだろうと考えた。来週には「百万石まつり」である。仕事はまた忙しくなるだろう。いっそバックレようかとも考えた。大野陽太こと救世主から電話がかかって来たのはそんな時だった。