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カリガ
2017年4月8日 10:36
生まれ故郷が故郷とは必ずしも限りません。金沢を離れて数年経ち生まれ故郷で暮らしていましたが私の心にあるのはいつも金沢でした。「金沢は歴史のある街だから時間が経っても変わらず残っている。だからどれだけ時間がかかっても帰って来れるよ。僕は気長に待っている」あなたは手紙にそう書いていました。でも、時間が経てば経つほどあの街への思いが募るばかりです。気がつけば一切合切捨てて、できたばかりの新幹線に
2017年4月30日 21:59
〈325ページ「ヒヤシンス」〉4月某日。いつものように何をするでもなく部屋でウダウダと空虚な時間を消費していたら水島さんからメールが届いた。彼女が金沢に戻って来るという。あまりの突然の話に携帯がつるりと手から滑り足の小指に衝突してもんどりうった。急いで支度をしてバスに飛び乗り金沢駅へ向かう。観光シーズンにはまだ早いけれど駅は十分すぎるほど込み合っていた。私は大勢の人から彼女を探すが上手