【今月のお気に入り】『ひとり旅日和』 著:秋川滝美(2024年8月)
こんにちは、金木犀川かおりです。
皆さんは、この夏、旅行に行きましたか。
私は、残念ながら、今年は旅行に行けなかったのですが、去年は1泊2日で京都旅を楽しんだのが懐かしいです。
そして、行きたい場所リストは、どんどんたまり中です。
さて、今回は、そんな旅行好きな人や、旅行は好きだけど、なかなか自由に行けない、なんていう人にぴったりな本をご紹介したいと思います。
最近は、YouTubeのVlogで、気軽に旅行の観光スポットやグルメの映像を見られるようになりました。
でも、せっかくなので、それを全部、文字で味わってみませんか。
そんな1冊になっています。
あらすじ
著者
本の概要
注)発行年月日が2021年10月21日となっていますが、この作品自体が発売されたのは、2019年10月31日です。
購入方法
Kindle Unlimitedで読み放題(月額使用料のみ)
登場人物(迷子になったらここを参照!)
・梶倉日和(かじくらひより)
主人公。小宮山商店株式会社勤務3年目。
・加賀麗佳(かがれいか)
日和と同じ小宮山商店株式会社に勤めており、隣の席。ひとり旅の先輩。
・吉永蓮斗(よしながれんと)
麗佳の彼氏の親友。日和と旅先で偶然出会う。旅行ブログ運営中。
・小宮山(こみやま)
小宮山商店株式会社の社長。日和のことを気に掛けてくれている。日和にひとり旅を勧めてくれた人
・仙川道広(せんかわみちひろ)
日和の直属の上司。日和にいつもつらく当たる。
・霧島結菜(きりしまゆいな)
小宮山商店株式会社総務課の2年目。愛されキャラ的存在だが、麗佳は、彼女のことを苦手に感じている。
お気に入りポイント
①現実の観光地を行くので、行ったことある場所、行きたい場所、知らなかった場所、どこも読んでいて楽しい
この小説の特徴は、なんといっても、日和が現実の観光地そのものに行く、ということ。
なので、実際の観光地とその描写がたくさん出てきます。
特に気になる場所は、Googleマップで調べたりもして、実際の観光地についても知ることができて、一石二鳥に感じます。
観光地だけでなく、ご当地グルメもたくさん出てきます。お店の固有名詞は出てこないのですが、本当にあるお店を連想できる描写も多く、もし知っていれば、「あ、あのお店だ!」と分かるようになっています。
②アドバイスと経験で成長する日和の姿
この小説の中で、ひとり旅の先輩、麗佳の存在は欠かせません。
旅行先の選び方はもちろん、交通手段、ホテルなど、旅行に必要なこともいろいろアドバイスしてくれて、それ自体参考になります。
そして、それを素直に実践して、良かったと喜ぶ日和を見て、私もまねしたくなるんです。
旅行そのものの上達だけではなく、ひとり旅に行くことで、日和は成長していきます。
こんなふうに、現実の会社での日和も、少しずつ成長していくんです。直属の上司の嫌味やパワハラの態度に、最初はすごくイライラするのですが、いつしか成長していく日和に、ほっとしてしまいます。
③ひとり旅ならではの、自問自答が楽しい。旅行先でのトラブルをどう解決するかも見もの
ひとり旅の先輩、麗佳が、日和に言うセリフです。
単なる旅ではなく、「ひとり旅」だからこその描写が、この本の面白いところ。
「わざわざしなくても・・・」とか、「・・・しなくちゃ」とか、「これでもう十分」といった、旅先での、日和の自問自答も、結構面白いです。
相談相手がいないひとり旅だからこそ、本音で自分と相談し合うし、誰の都合にも合わせなくていいのが、ひとり旅の面白さなんだなと感じられます。
それから、旅につきもののさまざまなトラブル。
これをどう乗り越えていくのか。例えば、ホテルで寝過ごしてしまったり、もっといい交通手段を後で知ったり、など、テンションが下がりそうな状況に、日和はどう思考を切り替えていくか。
そんなささやかな日和の成長も、読んでいてとても楽しいし、親近感が湧きます。
自分で行く旅でもない。YouTubeで見る旅でもない。
私の中では第3のパターンの旅行を味わえる本でした。
ひとり旅に行く人も、行かない人も、主人公と同じ目線で、いつしか一緒に旅に出られます。
そんな気分を味わいたい人に読んでもらいたいです。