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「アニマルウェルフェア」という畜産動物への配慮
こんにちは。PAF MALLのエシカル男子、【14期】エシカル・コンシェルジュ講座受講生のカワムラです。
第5回講義は「地球を分け合う動物たちに配慮する2つの方法」(講師:岡田千尋さん・NPO法人アニマルライツセンター代表理事)
正直、今回の講義はいろいろと考えさせられる内容でした。。
皆さんは、アニマルライツ、アニマルウェルフェアという言葉をご存じでしょうか。
アニマルライツとは、動物が、その動物らしくいられる権利のこと。人間とそのほかの動物で順位をつけず、差別をしないことを指しています。人間が動物を管理またはは利用するという前提に立たず、動物本来の生態、欲求、行動を尊重すること。おもに倫理学、哲学の領域で定義されています。
アニマルウェルフェアとは、1965年に英国で提唱され、世界中で採用されている考え方のこと。人間が動物を飼育する上で、その動物の適正な飼育方法、殺し方を定義しています。動物生理学、生態学、行動学などの科学的な裏付けがあり、下記5つの自由すべてが満たされることで、高いアニマルウェルフェアが実現します。
飢餓と渇きからの自由
苦痛、傷害又は疾病からの自由
恐怖及び苦悩からの自由
物理的、熱の不快さからの自由
正常な行動ができる自由
+6. 喜びなどポジティブな体験ができる自由
日本では、ペット、祭りや行事、学校教育、動物実験、介助犬などの使役、動物園や水族館などの娯楽施設、毛皮やフォアグラなどの輸入品、そして畜産という、アニマルウェルフェアの課題が発生しうる場面があります。
講義では、動物が犠牲になる98.8%を占める畜産、水産について語られました。
放牧、平飼いは、卵の美味しさの付加価値ではない
※刺激の強い映像がありますのでご注意ください
採卵鶏の死亡率は、バタリーケージ(ワイヤーでできた金網の中に鶏を入れ、それを連ねて飼育する方法)が最も高いといわれています。狭いケージの中で卵を産まされ続ける環境。鶏にとってストレスの高いバタリーケージでは、踏まれたり傷ついたり、死んでしまっても気づいてもらえないことがあるのです。日本最大手の養鶏場の1羽あたりの飼育面積は285平方cm(韓国の規制の半分以下)と、かなり劣悪な環境なのです。
EUはすでに半分以上がケージフリー、EU議会は、2027年までにケージ飼育の禁止を決議するといわれています。
アメリカは2025年末には73%がケージフリーに切り替わることが確約されています。
他国と比べて、日本のケージフリーの割合(羽数換算)は1.13%。将来は間違いなくケージフリーに向けて進んでいくと思いますが、まだまだというのが現状です。
そして、生まれた日に殺されてしまうオスひよこは、日本で1億1,000万羽とも。ゴミ箱に入れて窒息死、圧死、放置死、グラインダーと呼ばれる粉砕機ですりつぶす…。考えただけで胸が張り裂けそうになります。
日本では、ガスでの殺処分を採用しているところは確認できていないと聞きましたが、不要な苦痛をなくすことは、命の尊厳という意味でも必須ではないでしょうか。欧米では、卵内鑑別という、卵の段階でオスを鑑別して処分する方法への切り替えが進んでいます。
僕はスーパーで卵を買うときに、”放牧”や”平飼い”の卵を選ぶようにしていましたが、どこか美味しい卵という商品の付加価値のように感じていました。でも、鳥が鳥らしく生きられる環境というのは当然の権利ではないでしょうか。放牧や平飼いが、商品のスタンダードになっていくことを願ってやみません。
ワンヘルス(人間、動物、環境の健康・健全性はひとつ)
※刺激の強い映像がありますのでご注意ください
肉用鶏では、ブロイラーの品種改変(120日で2kg程度に成長するものを、40日で2kgまで成長するように改変)について語られました。
過激な育種改変は、突然死症候群、腹水症、心血管疾患、細菌性軟骨壊死や脛骨異形成症など骨の問題から歩行障害が生じることがあります。
日本の課題は、他国の1.7〜1.8倍という過密飼育をすること。日本の一般的な飼育密度が50~56kg/平方mのところ、EU規制では原則33kg/平方m。
日本の一般的な飼育による国産鶏肉は、薬剤耐性菌保有率、サルモネラ菌保有率が輸入鶏肉と比べて高いという結果がでていて、食する人間の健康にとっても危険なのです。
また、鳥類の屠畜時、事前の意識喪失をしないのは日本だけともいわれています。ガスや電気のスタニングなしの屠畜は、当然ですが動物を苦しめます。並べられて順番に処分されていく鳥たちの気持ちを思うと…。
飼育密度を33kg/平方m以下、必ず意識喪失を行うことを含む、国際的な水準まで引き上げる「ベターチキン」への切り替えは、ワンヘルスの観点からも必須と感じます。
日本でアニマルウェルフェアが進んでこなかった背景として、畜産業の歴史が浅く、畜産物の輸出が少ないことが挙げられています。つまり、世界のスタンダードに合わせる必要に迫られなかったのです。また、設備投資や人件費など生産者のコストがかかりすぎること、消費者にとっては見えづらく知る機会が少ないことも理由として考えられます。
これまで日本の食は安心、安全で美味しいと信じてきましたが、畜産システムの現状を考えると、海外の鶏肉のほうがベターチキン(よりよい鶏肉)なのではと感じてしまいます。
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安心、安全な日本の食の未来のために
アニマルウェルフェアを知ったからには、放牧や平飼いの卵、ベターチキンを選ぶようにしたい。あらためて思いを固める機会となった講義でした。また、そういった商品への支持を、食品会社や流通会社など企業にも伝えていきたいと考えています。
僕たちのPAF MALLには、安心、安全な地鶏を飼育し、日本の未来へ向けて生産量1%の「地鶏」を残し続けること、また世界で認められる「JIDORI」を確立することを目的としている生産者がいます。
「割烹 鳥屋花」が、アニマルウェルフェア基準を満たした自社の養鶏場で飼育している鶏肉は本当に美味しい。鶏の魅力を余すことなく詰め込んだ水炊きセットは絶品です。ぜひご覧ください!
さて、今回は鶏の畜産状況について語ってきましたが、豚や牛などの畜産、そして水産についてはどうなのでしょうか。それはまた次回ご紹介します。どうぞ引き続きおつきあいください!