読書感想文(26)井上堅二『バカとテストと召喚獣3』

はじめに

さて、3巻です。今回は学園ものあるある第一位、合宿です。今日のバイトの行き帰りで既に4巻も読み終わりかけているので、noteが追いつかなさそうですが、1巻ずつぼちぼち書いていきます。

感想

今回はまた一層バカです。学園もので合宿といえば……そう!女子風呂覗きです!

いや、ちょっと待て、それはおかしい。でも今回は合宿というより覗きがメインの話です。覗きは犯罪なので、読みながら面白いと思いつつも若干楽しんでいいのか……、という気持ちになります。覗きというのはフィクションの世界のものであるイメージがあったためか、中学生の頃は何も考えずに楽しんで読んでいました。でもこういうのがエンターテイメントの題材になるのって、それ自体が良くないのかなぁと思います。ついでですが、この作品のもう一点引っかかるのが同性愛の扱いです。近年性別に関する議論をよく見かけますが、この作品はそういう配慮に欠けていると言わざるを得ません。具体的にいうと同性愛が異端なものであったり、面白いネタとして描かれます。自分に関係無い人にとってはネタで済むのだと思いますが、実際に悩んでいる人もいるのだろうと思うとちょっと気になります。フィクションであっても同性愛がネタとして書かれてしまうと、それが現実世界でもネタとして扱われてしまいかねません。実際、この作品と直接関係はありませんが、中学生の頃には同性愛をネタにする風潮がありました。今はネットによって情報が広がっているおかげでそういう風潮は減っていっているのかなと思いますが、どうなのかはわかりません。

さて、この作品らしからぬ堅苦しい話をしてしまいました。とりあえず難しい事は一旦置いといて(置いといていいのか?とちょっと思いましたが、正直そこまで社会問題に興味を持ち切れていないので、ダメな人の一例として思ったことを率直に書いていこうと思います)、とにかく今回もバカでした。そして今回のバカは覗きです。

以下、少しネタバレを含みます。

しかし真面目な覗きなのです。主人公達は正体不明の人物に弱みを握られ、その人物が女性であり、お尻に火傷の跡があるという情報だけを持っています。だから?→じゃあお風呂を覗きに行こう!!というわけです。しかし潜入一日目の夜、仲良し四人組は先生&女子軍に惨敗します。それならと次の日、クラスの男子全員を味方につけて潜入します。しかしやはり惨敗、それなら学年全員を味方につけよう!ということで他のクラスに声をかけます。結果、D,E,Fの3クラスの男子が集結して襲撃します。しかしそれでも惨敗します。なぜなら相手は全クラス女子+先生、召喚獣の戦力差が半端でないからです。そして最終日、なんとしてでもA,Bクラスの男子を味方につけたい主人公達はFクラスの女子を唆して浴衣姿の写真(男子をやる気にさせる魔法の写真)を回します。その結果、Bクラスは味方についてくれましたが最も戦力となるAクラスは味方についてくれません。もうダメか……という時、それでも主人公は諦めません。なぜ、そんなに頑張ることができるのか?そんな友人の問いかけに、主人公はこう答えます。

「確かに最初は写真(稿者注、弱みの原因)を取り戻すつもりだった。真犯人を捕まえて、覗きの疑いを晴らすつもりだった。……でも、こうして仲間が増えて、その仲間たちを失いながらも前に進んで、初めて僕は気がついたんだ」

「ーーたとえ許されない行為であろうとも、自分の気持ちは偽れない。正直に言おう。今、僕はーー、純粋に欲望の為に女子風呂を覗きたいっ!」

……やっぱりバカでした。しかしこの声を聞いていたAクラスの代表が感銘を受け(?)、なんとAクラスが味方に付きます。ここで全学年の男子が一つの目的の為に心を一つにしたのです(*覗きです)。

今回は同じように熱い場面がいくつもあるのでいくつか引用します。

正直、今までの戦いでもこれほど厳しいものはなかった。今回はあまりにも不確定要素が多すぎる。でも、
「……大丈夫。きっとうまくいく」
「うん」
「当然だな」
「じゃな」
このメンバーなら何でもできる気がする。不可能を可能にできる気がする。

*覗きです。

「………生徒が教師に勝てないなんて、誰が決めた?」

*覗きの為です。

「皆、ありがとう……」
気がつけばそんな言葉を口にしていた。
不可能だと思われた作戦は、多くの仲間たちに助けられて成功を収めようとしている。あとは、僕が勝つだけで全てが終わる。残る壁はたったの一枚……!
現在時刻は二〇一五時。目的を果すには最適のタイミング。そんな時にここに辿り着くことができたという奇跡を、仲間全員に感謝したい。

*覗きが目的です。

とまあこんな風に、めちゃくちゃ熱いんですが、その分めちゃくちゃバカなんです。でもバカなことに熱くなれるのってものすごく青春っぽくありませんか?周りが大人になっていく中、私はこのバカを捨てられずにいます。バカを捨ててしまったらつまらなくなる、なんていうのはちょっと言い過ぎですが、やっぱりあの頃の全力感を持っている人ってあんまりいないような気がします。でももうそろそろ私もバカを卒業しなければいけないのかもしれません。次にこの作品を読む頃には「ああ、自分もたくさんバカやったなぁ」と思うのかもしれません。ちょっと寂しい気はしますが、それもまた人生の面白さなのかもしれません。

おわりに

今回も相変わらずバカでしたが、やっとこのバカらしさについていけるようになってきました。今回は熱い場面を取り上げましたが笑える場面もたくさんあります。そして恋愛も少しずつ動き始めました。既に4巻はほぼ読み終わっていますが、まだまだ続きが楽しみです。

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