読書感想文(27)井上堅二『バカとテストと召喚獣3.5』
はじめに
先に4巻を読んだのですが、順番的にはこっちが先なので先に感想を書こうと思います。3.5巻は名前から察せられる通り番外編のような位置の作品です。短編集なのですが、これがまたそれぞれ面白いです。
感想
短編なので一つずつ感想を書こうかなぁと思ったのですが、全部バカだったのでまあまとめてもいいかなと思ったのでまとめます。とりあえずまず一つ、一番面白かったネタを紹介します。
主人公は(今、自然と「主人公は」に続けて「バカ」って打ってしまいました。訂正はしませんが)週末喫茶店でバイトをします。しかし途中でミルクが切れてしまいます。
「お決まりでしょうか?」
「はい。えっと、アイスコーヒーとアイスミルクティーを一つずつ」
「申し訳御座いません。只今ミルクを切らしておりまして、アイスミルクティーはアイスティーになってしまうのですが、宜しいでしょうか?」
「あ、そうなんですか。それじゃ、アイスティーでいいです」
「畏まりました。アイスコーヒーとアイスティーですね。少々お待ち下さい」
何もおかしくありません。これはお手本です。ではこの対応を見て学んだバカ(主人公)の行動を見てみましょう。
「お決まりですか?」
「ああ。俺はアイスコーヒー」
ふむふむ。モヒカンの方にはアイスコーヒーが一つ。これは問題ない。
「俺はアイスミルクだ」
お、早速きた。けど、慌てることはない。さっきの秀吉の対応を真似したらいいんだ。
「お客様、申し訳ありません」
「ん?なんだ?」
「只今ミルクを切らしておりまして、アイスミルクはアイスになってしまいます。ご了承下さい」
「それただの氷だろ!?」
「では少々お待ち下さい」
「話聞けよ!」
頭を下げてカウンターに戻る。注文を告げると、飲み物だけだったせいかスグに出来上がってきた。溢さないのうに気をつけながらトレイに載せて、っと。
「お待たせしました。アイスコーヒーです」
「おう」
アイスコーヒーをモヒカン先輩の前に置く。
「こちら、アイスになります」
「いらねぇよ!」
坊主先輩の方は品物が気に入らなかったのか、急に怒り出した。とは言え、これはミルクを切らしているこちらの手落ちが原因のこと。何かサービスを……よしっ。
「ご安心下さいお客様。料金は半額で結構ですので」
「半額でも金を取るのか!?」
折角譲歩したのに、坊主先輩はお気に召さない様子。う〜ん、困った……。
「ミルク切らしてるならブレンドでいい!アイスはいらねぇ!」
「ブレンド、ですか……?畏まりました」
と、この後どんなブレンドコーヒーになったのかは是非ご自分で読んでみて下さい。
確か前回の感想でこのノリに慣れてきた、みたいなことを書いたと思います。でもむしろ、自分のボケもこの作品に影響されているような気がしてきました。私はボケに対するツッコミに別のボケで返すのが結構好きなのです。多分ツッコんでくれる友人は大変だと思いますが。
あれ、結構書いたつもりだったのにまだほとんど書いていませんでした。かといって、今回は番外編の短編集なので、これといって大きなこともなく、日常(?)であって……。でもこういう日常があるとよりキャラへの愛着が深まるというのはあるのだろうなぁと思います。長編はその分登場人物達と接する時間が長いので、より愛着が湧きます。私が最も好きな小説の一つに「図書館戦争」シリーズがありますが、初めて中学の頃に読んだ時に同じことを思いました。まあキャラが良いというのもあるのだと思いますが。
おわりに
なんだか薄っぺらい感想ですが、中身はめちゃくちゃ面白いです。感想が薄っぺらいのは私の頭が主人公のようにすっからかんだからだと思います。でも逆に言えば頭をすっからかんにして読めるくらい、純粋にバカになって楽しめる作品です。
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