読書感想文(24)井上堅二『バカとテストと召喚獣』
はじめに
久しぶりにライトノベルを読みました。このシリーズを読み始めたのは確か中一の時です。友人から『僕は友達が少ない』を借りてライトノベル面白いやん、と思い、その友達がおすすめしてくれて買ったのがきっかけです。もう一人別の友達が『これはゾンビですか?』を買い、三人で貸し合って読んでいたのですが、結局二人とも途中で買うのをやめてしまったのでその二作は最後まで読めていません。このバカテスが完結したのは高一の終わりでした(調べました)。最終巻が出た時にテンションが上がったのは覚えています。全18巻と多めですが、読みやすいので今月中に終わるかなぁと思っています。実は既に2巻も読み終わっているので明日はその感想になると思います。しばらく読書感想文が増えると思いますが、何か先に書きたいことがあればそちらを優先しようと思っています。
感想
まず読む前に少し緊張していました。なぜかというと、昔あれだけ笑った小説に今どれだけ笑えるのかなぁと思ったからです。この作品はバカが溢れていて、電車の中でも笑いを堪えていたイメージがあります。でももしかしたら歳を取った今、面白いと思えないかもしれない、という不安がありました。
結果としては、面白かったです。でもやっぱり昔ほどバカみたいに笑うこともありませんでした。まあもしかしたら一度読んでいるからネタをある程度予想できてしまっていたからかもしれません。それでも時々斜め上からネタが降ってきて思わず吹き出してしまうことがあり、面白さは健在だなぁといったところです。
ただこの作品の好きなところは、バカなところだけではありません。やはりこの作品にも自分の根幹となる部分と通じるところがありました。それがこの作品によって得たものなのか、元々あったものが共鳴したのかはわかりませんが、ともかく私自身をそこに見出しました。
主人公達は成績順に振り分けられるクラス分けにおける最下位のFクラスに所属します。そして(詳細は省きますが)この学校のルールに従って最上位のAクラスに挑みます。まだ勝負が始まってもいない、Aクラスに挑むことを決める場面のセリフを引用します。
「世の中学力が全てじゃないって、そんな証明をしてみたくてな」
このセリフを読んだ時、「ああこんなところにあったのか」と思いました。世の中学力が全てじゃない、というのは中高通してずっと思っていたことでした。今の世の中は少なからず学歴というものが重視されるように思います。確かに学歴の代わりになるような指標を持ってこいと言われると、何があるのかわかりません。でもだからといってそれが全てじゃない、ということは意外と意識しておかなければ忘れてしまうかもしれない危機感がありました。それは母校がいわゆる自称進学校だったからだと思います。絶対に校風に染まらないぞ!と思って反抗しながら六年間過ごしました。というと大袈裟過ぎる気がします、盛ったかもしれません、すみません。どちらかというと道は外さず大人しくしていたと思います、表面上は。授業は比較的真面目に受けなかったような気がします。中学の頃に国語の先生に「現代文って何の意味があんの?」と言ったことがあります。確か「そんなもんまずは勉強してから言い!」と一蹴されましたが、今思い返しても良くない答えだなぁと思います。ただし成績は決して悪くありませんでした。俺はお前らに教えてもらわなくても成績を維持できる、みたいな気持ちがあったのかもしれません。あとは「勉強が全てじゃない!」と言うには勉強をきちんとやってからでないと負け犬の遠吠えっぽいなぁという思いもあったと思います。だいぶ話が逸れましたが、実はこれは2巻の感想に繋がります。ともかく1巻では「うっせー勉強が全てじゃねえんだよバーカ!」という気持ちになりました。勿論勉強ができる人はすごいと思っていますが、それとは別に勉強ができるからといって勉強が苦手な人を見下すのは違うと思っています。と、書きながら「何を当たり前の事を言ってるんだろう」という気持ちになりましたが、案外やってしまうものなのだろうとも思っているので、自分も気をつけたいです。
あとはこの「証明」という言い回しも自分の中に取り込んでいたようです。高2の頃に「努力が報われる事を証明しなさい」という問いに本気で答えようとしました。つまり「努力は報われる、そんな証明をしてみたくてな」と思ったわけです。勿論完全な証明などできるはずもないのですが、二通りの方法で「少なくとも努力は報われ得る」という結論を出すことはできました。また当たり前の事を書いていますが、自分自身でやってみると案外自信になるのでオススメです。
おわりに
というわけで1巻(と2巻)を読んだわけですが、既に続きが楽しみです。もう読む前から「いくつかこんなエピソードあったなぁ」と思って胸が熱くなるのですが、恐らく今は忘れてしまっているエピソードもたくさんあります。それらを思い出しながら、今の自分と比べながら、そして何よりも全力で楽しみながら読み進めていこうと思います。
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